健康長寿のカギは腎臓にあり

日本腎臓学会でも注目の「定期的な運動」 まずはちょっと遠回りの散歩から

定期的な運動が大切(写真はイメージ)
定期的な運動が大切(写真はイメージ)

 腎臓病予防のために重要なのは、定期的な健康診断で自分の腎臓の状態をチェックすること。つまり、腎臓の力が弱っているかどうかを早期発見することが、何より大切なのです。これは腎臓だけではなく他の病気でもいえることですが、「昨年の健康診断は異常なし。今年は受診しなくてもいいか」と考えるのは少しリスキーです。翌年になって数値がガクッと悪くなることもあり得ますから。腎臓のためだけではなく、健康診断は毎年受診して、気をつけるべき点がないかをチェックしましょう。

 さて、「赤羽もり内科・腎臓内科」は、クリニック名からおわかりいただけるように、腎臓病・糖尿病に強い生活習慣病クリニックです。患者さんからよく聞かれる質問が「先生、腎臓はなぜ悪くなるのでしょうか」というもの。実はこれ、難しい質問なんですね。というのも、腎臓が悪くなる原因はひとつではなく、複数の要素が複合的に関わっているからなんです。

 では、複数の要素にはどんなものがあるのか。代表的なものとして次のような要因が挙げられます。糖尿病、高血圧、加齢、免疫の病気、遺伝の病気、泌尿器科の病気など。

 中でも、日本で人工透析が必要になる患者さんの7割程度が、糖尿病や高血圧が原因で腎機能が悪くなっています。

 生活習慣病のコントロール不足の結果、慢性腎臓病になるというケースが多い。

 つまり、生活習慣病の予防が腎臓病の予防にもつながるともいえるんですね。

 生活習慣病にならないようにするためには「定期的な運動」が必要。それはもう多くの方がご存じですよね。実は最近、日本腎臓学会でも運動が非常に注目されています。定期的な運動が、慢性腎臓病の合併症である心臓や脳の病気だけでなく、腎機能を守る可能性もあると報告されており、近年は腎臓リハビリテーションという概念も誕生しています。

 運動といっても、何もジムに行ってハードな筋トレをする必要はないですよ。散歩だって立派な運動です。厚生労働省は1日8000歩を推奨しているので、買い物ついでや通勤の行き帰りなどで少し遠回りをするなどして達成するように工夫してみましょう。

 そして、運動は習慣化が大切。これから先ずっと毎日続けていく。これこそ、結果として腎臓を守ることにつながるのです。

森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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