アメリカで最も普及しているコロナ治療薬パクスロビッドが、後遺症にも効果ありという研究結果が発表され、話題を呼んでいます。
コロナ後遺症は、感染後3カ月以上症状が続くことを指し、心臓疾患や呼吸障害などの身体の症状から、思考や集中が困難になるブレインフォグ、頭痛・めまい、味覚・臭覚の変化、睡眠障害、うつなど幅広い神経障害が見られます。感染した成人の5人に1人、数にして1600万人がかかったとされ、いまだに400万人もの人が職場に戻れず、経済に深刻な影響を与えているという数字もあるほどです。
そこで注目されたのが、ファイザー社が開発したコロナ治療薬パクスロビッドです。約1年前から使用され、現在は連邦政府の予算が出ているため、無料で処方してもらえます。感染して症状が出始めた初期から5日間飲み続けることで、重症化や入院のリスクを減らすことが広く知られています。
そのパクスロビッドがコロナ後遺症にも効果ありと発表したのは、連邦政府機関である復員軍人援護局です。調査対象となったのは5万6000人のコロナ患者で、感染時に投与された人は、後遺症のリスクが26%減少したとしています。
これに対し専門家は「体内のウイルスを減らすという薬の特性を考えれば、後遺症にも効果があるというのは納得できる」とコメント。
しかし、今回の研究対象のほとんどが白人男性だったこと。これまで処方されているのは、比較的高齢のハイリスクの患者なのに比べ、後遺症は若者に多いことなどから、後遺症の治療薬としての認可が降りるまでには、さらなる調査研究が必要とされています。
とはいえ、後遺症も視野に入れてパクスロビッドを処方する医師は、今後確実に増えそうです。
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