どこか体の調子が良くないから病院で検査を受けてみたら、やはりこれといって異常もない。そんな経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように病院検査で異常は認めないが、本人は時として結構つらく感じている病態を機能的疾患と呼ばれます。例えば虚弱体質、心身症、不定愁訴、不安神経症、冷え症などの不調がこのカテゴリーに入ります。
西洋医学でははっきりとした病名は付けられないため、相応した治療も行われないことが多いのですが、それらを得意とするのが東洋医学であり、時として非常に優れた治療効果を上げることも少なくありません。
また、女性の生理関連症状、更年期障害、逆子治療や産後の不調などに、鍼灸も漢方薬も、いにしえの時代から高い治療効果を発揮してきました。
なお、鍼灸治療に関していえば子供の場合は、小児専用の小児鍼もあり、小児の不調を治す専門の鍼灸院もあるほどです。
さらに近年などは、更年期障害の標準治療に漢方薬が取り入れられるなど、認知度も高まってきていますし、これから訪れる超高齢社会においても、加齢と共に起こるロコモティブシンドローム(歩行困難などの運動器機能不全)などの不調に対しても、鍼灸やマッサージなどの治療は高齢者の生活の質(QOL)の向上に貢献するものと期待されています。
そして、漢方薬は西洋医学の薬に比べて少ない種類で多臓器疾患に対処できるため、毎日たくさんの種類の薬を服用しがちなそのような高齢者にとっては、服薬の負担を減軽することにもなる。
東洋医学を正しく知って不調改善
不調はあるのに検査では異常なし それでも治療をしてもらえる?
それでは西洋医学が得意とするものはなんでしょうか。胃潰瘍、膀胱炎といった臓器そのものに炎症や硬化やがんなどがあり、それによって症状が出現する病気や病態である器質的疾患や、外科的手術の必要度の高い腫瘍、心筋梗塞や脳出血、脳梗塞などの緊急処置の必要度が高い疾患など。原因も病名もはっきりしているから治療法も確立されていますし、外科的治療にたける場合は治療効果も高い。
一方、それらの治療をしても改善しない場合や、開腹術後の合併症、がん化学療法、放射線療法による副作用、コロナ感染症後遺症などの場合は、東洋医学療法を併用することで良い成果を上げています。
このように、東洋医学と西洋医学のそれぞれのいいところを取り入れることは、よりよい医療を提供することができ、健康や病気予防にも大いに役立ちます。