コロナ第8波に備える最新知識

仏大統領は無料配布を宣言も…梅毒はコンドームでは防げない

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 年末に向けて感染者数が増えてきた。8日の新規感染者数は13万2989人となった。警戒は必要だが、インフルエンザ並みの死亡率となったいまは、過度に騒ぐことなく正しく恐れたい。私たちができる感染症対策は変わらない。人混みを極力避ける、飛沫(ひまつ)を浴びないよう・浴びせないよう・料理にかけないようマスクするなどの工夫をする、部屋では空気の流れをつくるなど。いまはダブル感染を避けるため、新型コロナ以外の感染症への警戒も強めるべきだ。そのひとつが新型コロナ禍で増えている性感染症だ。とくに梅毒は年末までに1.3万人台に達する勢いだ。

 そんななかフランスのマクロン大統領が来年1月1日から18~25歳に薬局でコンドームを無料で配布する考えを明らかにした。若者の性感染症対策のためだという。これを聞いて「コンドームを装着すれば性感染症から逃れられる」と思う人がいるかもしれない。しかし、間違いだ。コンドームは性感染症を防ぐ有効な手段だが、それだけで完璧にシャットアウトすることはできない。公衆衛生に詳しい、岩室紳也医師が言う。

「コンドームの装着で確実に防げる性感染症は淋菌感染症、クラミジアで、梅毒などはコンドームだけで防ぐのは難しい。理由は感染経路が異なるからです」

 精液や膣分泌液に存在する淋菌やクラミジアは、人体の粘膜に感染して増殖する。具体的には性器、のど、目、尿道、膣、直腸(肛門)。コンドームをしていれば通常性交時での感染は防げるが、精液や膣分泌液に触れた指やタオル、下着、アダルトグッズなどから感染することもある。また、オーラルセックスが一般的になり、コンドームをしないことによるのどへの感染も増えている。むろん、肛門への挿入により直腸に感染する場合もある。

 梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌が感染することで発症する梅毒は、性行為を介して小さな傷口や粘膜に感染して増殖していく。そのため、コンドームをしていてもコンドームが覆わない部分の皮膚から感染することもある。当然、通常の性交以外に、オーラルセックスや肛門での性交、抱擁による皮膚と皮膚の接触でも感染する。つまりコンドームだけでは性感染症は防げないということだ。

「セックスするパートナーを決めることが大切です。またオーラルセックスや肛門での性交は控えるか、少なくともコンドームを使うことが重要です」

 新型コロナは私たちの生活習慣を含めさまざまなことを変えてきたが、これを機に性習慣も変える必要があるのかもしれない。

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