感染症別 正しいクスリの使い方

【インフルエンザ】3年ぶりの流行に備えワクチンで重症化を防ぐ

加藤厚労相はコロナとインフルの同時流行への対応を呼びかけ
加藤厚労相はコロナとインフルの同時流行への対応を呼びかけ(C)日刊ゲンダイ

 つい先日、「インフルエンザの抗体保有率が低くなってきている」という報道があったように、3年ぶりにインフルエンザが流行する気配があります。

 インフルエンザの感染状況は、定点医療機関(全国約5000カ所の内科・小児科医療機関)、及び基幹定点医療機関(全国約500カ所の病床数300以上の内科・外科医療機関)が地域の保健所に届け出を行い、毎週集計されています。

 ここ2年間は1~2月の流行時においても全国での患者報告(定点報告)数は100件に満たず2桁どまりだったのですが、今シーズンは11月28日~12月4日:636件、12月5~11日:1238件、12月12~18日:2592件となっており、過去2年と比較するとすでに10倍以上の流行となってきています。岩手県を皮切りに、青森県、東京都、神奈川県、富山県、熊本県などでも流行期に入ったことが確認されていて、今後さらなる流行が懸念されます。

 例年、流行のピークは1~2月に迎えるため、今からでも感染対策をしっかり行う必要があります。基本的には手指消毒、マスクの着用、3密を避けるなど、新型コロナ感染症と同じ対策でよいのですが、インフルエンザワクチンの接種も有効です。

 インフルエンザワクチンの最も大きな効果は「重症化」を予防することです。国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったというデータもあります。

 また、インフルエンザワクチンは新型コロナワクチンとの同時接種も可能です。私も同時接種を行いました。幸い今シーズンはインフルエンザワクチンの在庫不足はないようです。ワクチンが効果を発揮するまでには2週間程度の時間がかかることなども考えると、できるだけ早い時期に接種することをおすすめします。

荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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