痛みスッキリ からだ楽チン

脱臼の後に医師が応急処置 レントゲンでは整復していたが…

写真はイメージ
写真はイメージ

 ごきっ……。肩がたまらなく痛い。手もしびれる。こんな痛いことあるんかな……。

 これは、私が肩を脱臼したときのこと。

 もともと14歳のとき、サッカーのプレー中に右肩を初めて脱臼しました。そのときは自然に治まり、近所のいつも通っている整骨院の先生のところに行っても「大丈夫だよ」というお墨付きをもらえたのです。そこで安心してサッカーをしていました。

 高校に入ってもサッカーを継続。肩のことは全然問題なくプレーをできていました。そんなときの冒頭の経験。ドリブルで相手を抜きさるとき、以前脱臼した側の右腕を相手にひっかけただけで……。

 腕に力が入らない。ボールがどこにいったか分からない。地面にうずくまり、周りに支えられながらフィールドの外に連れていかれました。とりあえず病院にと、救急外来になんとかたどり着いたところ、その日はたまたま整形外科の先生がいたのです。「肩が痛いのをなんとかしてほしい、死にそう……」というのが、私の気持ちでした。

整形外科の医師「これは肩が脱臼しているね。少し痛いけど、腹ばいになってベッドに寝てくれるかな。右腕をだらんと垂らしてね。僕がゆっくり引っ張るからね」

 ごき。何か関節がはまった感じがする。まだ痛みはあるけどずいぶんましになった──。

整形外科の医師「これで脱臼は治ったよ。念のためにレントゲン検査を受けてください」

 やっとあの痛みから解放された。

整形外科の医師「レントゲンでは関節は整復されている。つまり元の状態に戻っている。でも後日、詳しい検査を受けて肩の骨や靱帯の状態を調べたほうがいい。肩関節専門の先生の受診をお勧めします」

 この痛みから解放されただけで、気持ちが解放された。とにかく今日は家に帰りたい──。それが、脱臼をした直後の気持ちでした。次の機会に、私がこの肩にどう向き合っていったかお話しします。

森大祐

森大祐

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

関連記事