東洋医学の基礎理論に、陰陽学説があります。
これは、自然界の事象はすべて陰と陽という対照的な2つの組み合わせに分けられるという考え方です。例えば、水、静、下降、柔、女は陰、それに対する火、動、上昇、剛、男は陽となります。
最近の言葉に、「陰キャ」「陽キャ」というものがありますね。陰陽で物事を分けるのは、昔から続く人間の習性なのかもしれません。
さて、子供においては、「活動的で上昇する」など陽の性質を備えています。生命力にあふれ、勢いよく育つため、純粋な陽気を意味する「純陽の体」と言い表すほどです。
いま私の家には9カ月の息子がいますが、よく泣き、よく笑い、よく怒り、よく動き回る。まさに「陽のかたまり」のような存在です。
ですがこの状態が病的になると「疳の虫」がいると表現されます。我が国では古くから「疳」という病気があるとされ、それは“虫”によって起こり、夜泣きやひきつけ、かんしゃくなどの発作を起こす病気ととらえられています。
そしてそのような子供を対象に開発された小児鍼があります。
この小児鍼の特徴は、まだ経絡が完全に発達しておらず、柔らかくて損傷を受けやすい子供の肌に合わせて開発されたもので、体内に鍼を刺入せずに鍼具を皮膚に当てるだけ。皮膚刺激を主体とした鍼法です。
鍼具として使うのは、員利鍼、いちょう鍼、ばち鍼。皮膚を接触(タッチング)、叩打(タッピング)、押圧(押す)、軽擦(なでる)、軽く引っかくなどして、刺激を加えます。
いずれの鍼法も、痛みを与えず、リズミカルに全身を施術していきます。それによりオキシトシンといった幸せホルモンの分泌が促され、また副交感神経が優位になり、患児をリラックスさせる効果もあるのです。
我が家ではギャン泣きする息子にも小児鍼を行っておりますが、どうやら息子は陽である父親の小児鍼より、陰である母親の抱っこの方が良いようで、やはり小児は「純陽の体」なのです。
東洋医学を正しく知って不調改善