「口臭」を正しくチェック…気づいていないのは自分だけ?

「生理的口臭」は誰にでも見られるもの
「生理的口臭」は誰にでも見られるもの

 マスクなし生活になり、口臭が気になり出した人もいるのでは?

「マスクが個人の判断にゆだねられたあたりから、『私の口臭は大丈夫でしょうか』と当院に相談に来られる患者さんは確かに増えました」と話すのは、百瀬歯科医院(東京都世田谷区)の百瀬智彦院長だ。

 そんな気になる口臭、自分でチェックする方法は?

「空のコップに息を吐き、すぐにフタをして5分程度時間を置いてから中のにおいを嗅ぎます。そのにおいが、その人の口臭。少し時間を置くのは、自分のにおいに鼻が慣れてしまい、すぐに嗅いでも、におうかどうかの判断ができないからです」

 市販の口臭チェッカーを利用するのも手。ただ、セルフチェックでは口臭の原因がわからない。きちんと対策を講じるために、歯科医院で診てもらう方が確実だ。

「当院では、官能検査という方法で確認しています。患者の呼気を、歯科医師がその場で直接嗅いで測定する方法です」

 百瀬歯科医院では扱っていないが、口臭測定器を用いて診断する病院もある。口臭測定器は、口臭の原因物質である硫化水素・メチルメルカプタン・ジメチルサルファイドを検出・測定する機械。ただ、口臭があるかないか、そしてその原因は……というのは、測定器がない歯科医院で十分に対応できる。

■セルフケアだけでは対処できない

 口臭には、「生理的口臭」と「病的口臭」がある。

 生理的口臭は誰にでも見られる。起床時や空腹時、緊張時、ストレスがたまっている時などだ。唾液の分泌が減少し、自浄作用が低下。口の中で菌が増殖して強い口臭が発生する。口をゆすぐ、水を飲むなど、口の中が乾かないようにすることで解決する。気にしすぎないことも肝心だ。

 なお、成長期の子供で虫歯はないのに急に口臭が強くなることがあるが、成長ホルモンの活発化が原因の生理的口臭になる。

 一方、病的口臭は何らかの病気が原因。病気の治療が、口臭改善につながる。

 歯科の領域では、虫歯や歯周病。それ以外では、肺がんや肺腫瘍など呼吸器系、胃がんや食道気管などの消化器系、扁桃炎や喉頭がんなどの耳鼻咽喉系。糖尿病や肝硬変が関係していることもある。

「意外に盲点なのが、舌に付着した白っぽい汚れの舌苔。食べカスや粘膜、細菌のカスで、舌苔のケアをしていないために口臭がする患者さんも少なくない。歯科医やドラッグストアで舌磨き用のブラシが販売されています。それで、週1~2回のケアを習慣化するといいでしょう」

 歯ブラシでもいいが、硬めの歯ブラシでは舌を傷つける恐れがある。舌が傷つくと、雑菌が入り、それがまた口臭の原因となる。歯ブラシを使用するなら、必ず柔らかいタイプを選ぶ。ゴシゴシこすらず、サッと3~4回、なでる程度で。

 口臭が気になったら、それは、プロの手による定期的な歯科チェックを始めるタイミング。どんなに一生懸命ブラッシングをしていても、歯ブラシが届かない場所が必ずある。そこにプラークや歯石がたまり、虫歯や歯周病を引き起こす。

「虫歯があると雑菌がたまって口臭の原因となります。歯周病も歯茎が膿み、においが発生します」

 そもそも歯磨きの仕方を間違えている人も。歯磨きは回数ではなく、質が大切。歯ブラシやフロスを使って正しく丁寧な歯磨きを実践すると、10分程度はかかる。

「『自分は口臭がひどいのではないか』と気にしすぎないことも大切。口臭の原因にストレスもある。気にしすぎたせいで、本来そうひどくなかった口臭が、強くなってしまうことも考えられますから」

 悩みすぎる前に、まずは歯科医院へ。

関連記事