役に立つオモシロ医学論文

鼻をほじる習慣がある人は新型コロナに感染しやすい?

写真はイメージ(C)iStock
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 新型コロナウイルスは、感染者が咳やくしゃみをしたときに発する、ウイルスを含んだ飛沫によって感染します(飛沫感染)。また、ウイルスを含んだ飛沫を触った手が鼻や口の粘膜に触れることでも感染することがあります(接触感染)。

 習慣的に鼻をほじる人は、子供だけでなく大人でも少なくないことが知られています。もし、ウイルスが付着した指で鼻をほじった場合、感染症を発症する危険性が高まると考えられます。そんな中、鼻ほじりの習慣と、新型コロナウイルス感染症の関連性を検討した研究論文が、世界的にも有名な科学誌「プロスワン」に2023年8月2日付で掲載されました。

 オランダで行われたこの研究では、医療従事者404人が対象となりました。

 研究参加者に対して、鼻ほじりや爪を噛む頻度などに関するオンライン調査が行われ、新型コロナウイルス感染症の発症リスクとの関連性が検討されています。

 なお、研究結果に影響し得る、新型コロナウイルス感染症患者をケアする頻度や、同ウイルスに感染した人と接触する機会などについて、統計学的に補正をして解析されました。

 オンライン調査の回答が得られた医療従事者は219人で、このうち鼻ほじりの習慣があった人は185人(84.5%)でした。2020年10月までに、219人中34人(16%)が新型コロナウイルス陽性となりました。陽性者のうち、鼻ほじりをしていなかった人は2人(6%)だったのに対して、鼻ほじりの頻度が月に1回の人は9人(27%)、週に1回の人は12人(35%)、毎日の人は11人(32%)でした。

 統計解析の結果、新型コロナウイルスに対する感染リスクは、鼻ほじりをしない人に比べて、鼻ほじりをする人で3.8倍、統計学的にも有意に高いことが示されました。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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