薬局やドラッグストアといったお店で購入できるクスリは「一般用医薬品」と呼ばれます。一般用医薬品は気軽に購入できてとても便利ですが、医療機関で処方される医療用医薬品とは異なった特徴があります。
その特徴として、1つのクスリに多くの成分が含まれていることが挙げられます。前回と同じく風邪症状を例に見てみると、一般用医薬品のいわゆる「総合感冒薬」と呼ばれるものには、解熱鎮痛、咳(せき)止め、気管支拡張、痰(たん)切り、アレルギー症状(鼻水、鼻詰まり、くしゃみなど)を抑えるといったさまざまな成分が1つの錠剤・カプセルに含まれています。つまり、一般的に“風邪”といわれるほぼすべての症状に対する成分が1つのクスリにまとめられているのです。
同じ風邪症状でも、医療用医薬品だと複数種類のクスリを服用しなければならないのに対して、一般用医薬品では1種類のクスリを服用するだけでこれだけの症状をカバーできるのだから便利だと思われる方もいらっしゃるでしょう。ただ、たとえば発熱のない風邪の場合でも解熱鎮痛の成分を服用するといったことが起こりうるため、本来不要な成分が含まれているケースもあるのです。
もうひとつの大きな特徴として、クスリが安全に使えるようにそれぞれの成分の量が少なめに設定されているということが挙げられます。一般用医薬品の場合、どのような人がクスリを店舗で購入して使用するかはわかりません。年齢、体格はもちろん、基礎疾患の有無など、どのような人でもある程度安全に使用できるように成分の量が少なめになっているのです。
医療用医薬品に比べて一般用医薬品の種類は少ないです。なので、一般用医薬品は風邪や下痢、花粉症といった一般的な症状で、しかも症状が比較的軽い場合に使うものだと考えていただいて構いません。
そんな中、近年徐々に「スイッチOTC医薬品」というものが増えてきました。OTCは「Over The Counter」の略で、カウンター越しにクスリを販売すること、つまり一般用医薬品とほぼ同じ意味になります。元々、医療用医薬品として用いられており、長年使用されてきた経験上安全性が確認されたものを一般用医薬品として販売したものがスイッチOTC医薬品になります。
スイッチOTCには鎮痛薬や胃薬、抗アレルギー薬などがあります。ただ、安全性が確認されたといっても従来の一般用医薬品に比べると副作用などのリスクは高くなるので、中には購入の際に「薬剤師からの説明」が必要なものもあります。
医療用医薬品、一般用医薬品いずれの場合も副作用のリスクは存在します。何か体に異変を認めた場合は医師または薬剤師に相談することを忘れず、安全に使用していきましょう。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方