なぜ糖尿病患者や予備軍には「パーソナル食事コーチャー」が必要なのか

オンラインでマンツーマン指導
オンラインでマンツーマン指導

 糖尿病治療のためせっかく始めた食事療法なのに挫折する人が多い。長続きしないのは、食事療法がえてして素人考えによる“孤独な闘い”になりがちだからだ。「要はやせればいいんだろう」と非科学的なむちゃなダイエットをしたり、「周りは好きなものを好きなだけ食べているのに、なぜおれだけこんなつらい思いをしなくちゃならないのか?」などと思うことで、成し崩し的に食事療法をやめてしまう。これでは糖尿病が改善するはずがない。

 しかし、新たな食習慣が身につくまで共に伴走してくれる、栄養のプロがいたらどうだろう。たとえばタウンドクター㈱は、月に1度30分間、糖尿病の患者やその予備群など食事や栄養についての悩みを抱える人を対象に、管理栄養士による食事コーチングサービスを提供してくれる会社だ。ウェブ会議システムを用い、マンツーマンで指導してくれる。

 しかも、食事の写真や事前のアンケートなど面倒な手続きは一切不要。利用者はネット上のカレンダーを見ながら、都合のいい日時に予約できる。うれしいのはその値段。条件に合致すれば1回500円前後でOKだという。同社の山上慶社長が言う。

「パーソナルな食事指導は1回3000~5000円かかるケースが多い。しかし弊社は3割負担の患者さんなら1回500円前後で食事指導を受けられるシステムを構築しています。そもそも糖尿病などの生活習慣病の患者さんは月に1度、特定の医療機関で主治医の指示の下、管理栄養士による食事指導を公的保険適用で受けることが認められています。弊社は医療機関と契約し、患者さんにとって低価格なサービスを可能にしているのです」

 メリットは値段だけではない。食事指導のための通院は、交通費も時間もかかる。食事指導も集団で行うことが多い。ところが、ウェブ会議システムを使えば、交通費は不要で、時間も利用者の都合で選択できる。食事指導も1対1なので食事に関するさまざまな疑問などを理解し解決しやすい。

 40代の利用者は言う。

「主治医の先生にしても食事指導の状況を把握したうえで治療方針を立てていただけるので、投薬指導などもより細かくなった気がします。また、タウンドクターのネットには管理栄養士ごとに専門分野や経験、指導のモットーなどがアップされ、自分に合った経験豊かな栄養士を選べます。また、この手のサービスは自炊が前提のケースが多いのですが、ここのサービスはコンビニ弁当やレトルト食品など身近な食材や居酒屋でのつまみの選び方など実際の生活に即した栄養指導をしてくれるので継続しやすい。私のように忙しく自炊ができない独身サラリーマンや、子供が巣立って日頃の料理に手を抜きがちな私の老親世代の人にはうれしいサービスだと思う」

■「孤独」の解消にも役立つ

 現在、同社では登録している約100人の管理栄養士が、約1000人(30~80代、平均年齢50歳程度)の食事指導をしているという。気になる効果は、サービス開始から2~3カ月で体重2キロ程度、糖尿病の指標となるHbA1cが3カ月で0.5%、半年で1%弱改善した例があるという。

「長期的にダイエットしたいが、効率的に体重を減らす食事の仕方がわからない人、現在は糖尿病や高血圧などの生活習慣病と診断されてはいないが、健康診断の数値が気になり食生活を改善したい人などが利用されるケースが多いと思います」(山上氏)

 なによりこのサービスで重要なポイントは「孤独」の解消にも役立つということだ。じつは「孤独」は健康に悪影響を及ぼすことがわかっていて、その対策のために英国では孤独担当大臣が設置されたほど。心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを1.2~1.5倍、糖尿病の発症リスクを1.3~1.5倍にすることがわかっている。

「30分間の栄養指導では、食事や栄養の話だけをするわけではありません。たわいのない世間話に花を咲かせることもあります。それを楽しみに、月1回の食事指導を継続してくれている人も少なくありません。弊社のサービスを開始して半年後の継続率が90%を超えているのは、それも理由だと思います」(山上氏)

 いまや人生100年時代。明るく元気に走り抜けるには、生活の基本となる正しい食事習慣を見直し改善することが欠かせない。そのために1対1で栄養指導をしてくれるプロの伴走者が必要なのではないか。自分自身はもちろん、孤独になりがちな老親やひとり身の知人など大切な人に元気に長生きしてもらうためにも、パーソナル食事コーチャーをすすめてみてはどうだろうか。

関連記事