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糖尿病は運動でどのくらい予防できる?「速足20分追加で11%リスク低下」米国学会誌に掲載

快速での歩行20分でリスク低下(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病の多くを占める2型糖尿病は、遺伝的な要因と環境要因の2つが原因で発病します。家族に糖尿病の方が多いような場合には、遺伝的ななりやすさがあると考えた方がいいので、生活環境により注意することが必要なのです。

 それでは、糖尿病にならないためには、何に注意すればよいのでしょうか? 指摘されることが多いのが食事と運動です。ただ、実際にどのような食事をして、どのくらい運動をすれば糖尿病にならないか、というような具体的な点については、研究結果によっても違いがあり、明確な結論には至っていません。特に運動については、1日1万歩が以前は健康的といわれていましたが、最近では5000~8000歩くらいが良いという意見もあり、見解が一定していません。

 今年の米国糖尿病学会の専門誌に、運動による糖尿病予防についての論文が発表されました。これは9万人以上の一般住民を対象として、3軸加速度計という特殊な機械で、正確にその人の運動量を測定したものです。その結果、エネルギー消費量で測定された運動量が多いほど、糖尿病のリスクが低下した、という結果が得られました。具体的には毎日速足での歩行を20分、通常の生活に追加すると、糖尿病のリスクは11%低下していました。

 もちろん、ケガなどしないように、無理なく安全に行うことが必要ですが、運動はやればやるほど糖尿病の予防効果があるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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