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糖尿病網膜症は「爪検査」で見つけられる? 東北大大学院の研究チームが公表

早期発見の手がかりになるのか
早期発見の手がかりになるのか(C)PIXTA

 糖尿病網膜症は腎症、神経障害と並ぶ糖尿病の3大合併症のひとつ。日本では中途失明第3位の病気で年間数千人がこの病気で失明している。にもかかわらず、有効なマーカーが見つからず、糖尿病患者の眼科検診受診率が低いことが知られている。

 たとえば全国で行われているほぼすべての保険診療情報が含まれている「匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データベース(NDB)」を分析したところ、2017年度に糖尿病治療薬処方を受けている患者の眼科受診割合は47%と低かった。

 おそらくは、多くの糖尿病患者は「わざわざ眼科検診を受けるのは面倒くさい」と思っているのだろう。これでは糖尿病網膜症の患者数、中途失明者の数を減らすことは難しい。

 そんな中、東北大学大学院医学系研究科眼科分野の中澤徹教授らの研究グループは、毛細血管スコープによる爪床毛細血管検査により、糖尿病網膜症の発見や重症度評価が可能であることを明らかにした。

 爪床(そうしょう、ネイルベッド)とは皮下組織の一部。その上に載っているネイルプレート(爪甲)の形成と維持に必要な毛細血管が通っていて、神経もある。

 自由が丘清澤眼科の清澤源弘院長が言う。

「今回の研究では、83人の糖尿病患者と63人の非糖尿病患者を比較しています。爪床毛細血管が糖尿病網膜症の症状や重症度に関係するかどうかを調べるのが目的です。大学の記者発表によると、糖尿病患者は、非糖尿病患者に比べて爪床毛細血管の本数減少、短縮化、狭小化、混濁化が見られたそうです」

 これまで糖尿病網膜症については眼底を見る以外の有効な検査方法は見つかっていない。だからこそ、今回の研究のさらなる進展・成果が待たれる。

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