感染症別 正しいクスリの使い方

【感染予防】アフターコロナだからこそ正しいマスク装着とアルコール消毒を見直す

正しい方法で感染予防を
正しい方法で感染予防を

 最近、「アフターコロナ」という言葉をよく聞くようになりました。たしかに、新型コロナ感染症はずいぶん落ち着いてきたようにも思います。今回は新型コロナとともに一般化した「マスク」や「アルコール消毒」についてお話しします。

 じつはこれらも含めて感染予防に有効な多くの方法は、新型コロナが流行するずいぶん前から知られていたことですし、コロナによって特別方法が変わったわけでもありません。私も消毒用アルコールは、新型コロナ流行前からずっと携帯して使用していました。多くの方がやっていなかっただけなのです。ただし、マスクにしても消毒用アルコールにしても、正しい方法で正しく実施しないとコロナに限らず感染予防の意味をなさないこともあります。

 マスクから鼻が出た状態のいわゆる「鼻出しマスク」や、口も鼻も出た「顎マスク」などは感染を広げるリスクがあるため避けるべきです。顎マスクは一時的にマスクを顎までずらして装着している状態なので、ウイルスが顎に付着していた場合は、マスクの移動によってウイルスをマスクの内側に付着させてしまうことも考えられます。

 マスクの素材については、不織布以外のものも市販されていますが、機能などを考慮して不織布またはサージカルマスクが推奨されています。また、一定の性能基準を満たしたマスクには日本産業規格(JIS)が制定されていることも知っておくとよいでしょう。

 アルコールによる手指消毒は、ドアノブやパソコンのキーボードなど不特定多数の人が触れるであろう場所に触れた後も実施すべきです。その際、アルコール製剤に記載されている正しい量を手に取り、正しい方法で実施する必要があります。正しいやり方はインターネットなどでも一度確認しておくとよいでしょう。目に見える汚れがある場合には、水手洗いで汚れを落としてからアルコールによる手指消毒を行います。

 アフターコロナだからこそ、いま一度、正しい感染予防法を見直し、実践していくことが大切です。

荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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