梅毒急増の「なぜ」

梅毒急増のなぜ(1)10年で15倍の約1.5万人…直近3年間の伸び率トップは北海道

伸び率トップは北海道
伸び率トップは北海道(C)日刊ゲンダイ

 梅毒感染が深刻になってきた。なぜ、急拡大しているのか?

 国立感染症研究所が公表する、感染症発生動向調査週報(IDWR)速報データによると、2023年第1~52週の梅毒患者の新規届け出件数は1万4906件。2000~12年の梅毒患者の新規届け出件数は年間1000件未満で推移していたから、10年余りで15倍に増えた計算だ。ちなみに、2013年は1228件、2015年は2690件、2017年5826件、2021年7873件、2022年1万2966件だった。

 近年の梅毒の感染拡大は以前と明らかな違いがある。かつては、男性同士の性行為もしくは疑似性行為による感染が多かったが、いまは新規患者の3分の1は女性で、年齢は20代が中心である点だ。

 東京都の集計によると、2022年の都内梅毒患者報告数は3677人(※IDWR速報データは確定値でないため数字は異なる)。うち女性は1386人。その年齢は20~29歳951人、30~39歳209人で、20~39歳が女性の梅毒患者報告の83%を占める。東京都のデータでは2022年までの直近10年で女性は40倍になったという。

 全国的に見ると、大きな歓楽街を抱える都道府県での感染が目立つ。2023年の都道府県別の新規届け出件数で実数が多いのは、1位東京(3658件)、2位大阪(1967件)、3位福岡(939件)、4位愛知(817件)、5位北海道(677件)である。

 しかし、直近3年間の伸び率で見ると、様相が一変し、梅毒感染が地方で急拡大していることがわかる。1位は北海道(310.3%)、2位長崎(274.3%)、3位山形(244.4%)、4位徳島(234.7%)、5位和歌山(226.3%)、6位鹿児島(207.4%)と軒並み200%超え。ほかに岩手、茨城、千葉、新潟、福井、山梨、静岡、大阪、鳥取、島根、広島、山口、福岡、佐賀は100%超えで、マイナスは、秋田、富山、高知だけだった。(つづく)

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