梅毒急増の「なぜ」

梅毒急増のなぜ(4)感染者のうち男性40%、女性1%が性風俗を利用

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナの影響で2020年は減少したものの、2011年以来、梅毒患者報告数は増え続けている。とくに目立つのが20~30代の女性で、地方での増加も目立つ。なぜか? ひとつの推測として性風俗で感染する人が増えたことが考えられる。

 実際、北海道では、梅毒患者の新規届出の多くが歓楽街のある札幌市の保健所管内でのもので、病院で受診した人の多くが性風俗店を利用した後に感染が確認されていたという。「プライベートケアクリニック東京」(東京・新宿)の尾上泰彦名誉院長が言う。

「国内の梅毒症例をみると、性風俗産業の利用歴、従事歴のある人が一定数いることがわかっています。また、世界的にも性風俗産業従事者(CSW)は梅毒に感染するリスクが高いことが知られています。厚労省もその実態調査として、2019年1月1日から梅毒の届出用紙に『妊娠の有無』と共に『直近6カ月以内の性風俗産業従事歴』の有無についての報告を加えるようになりました」

 2023年の分析データによると、男性で梅毒に新規感染したうちの3870件(約40%)、女性の88件(1%)が直近6カ月以内に性風俗を利用していた。また、同年の男性211件(約2%)、女性の2064件(約40%)は直近6カ月以内に性風俗産業に従事していた。

「性風俗での感染率が高いのは、コロナ禍で利用者が減り、性風俗産業の競争が激化してサービスが過激になっているからかもしれません。梅毒はコンドームを装着すればある程度は防げます。以前は性風俗店ではコンドームをしないノースキンサービス(NS)は、CSWの判断に任せられていました。しかし最近は、NSをしないCSWは雇わない店もあるようです。風俗店によっては、感染防止の研修を行ってスキンを奨励することで“安全な店舗”をPRしています。それを歓迎する利用者もいますが、全体的には少数派です」(尾上院長)

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