梅毒急増の「なぜ」

梅毒急増のなぜ(6)20~30代女性の高校時代の性意識…「草食」世代ではなかったのか

写真はイメージ(C)iStock
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 日本性教育協会はほぼ6年に1度「青少年の性行動全国調査報告」を行っている。それによると、「性交経験率」は、いまの20代前半が高校生だった2017年(男子13.6%、女子19.3%)は、援助交際が話題となり始めたいまの30代が高校生だった2005年(男子26.6%、女子303.0%)より約12%減っている。「キス経験率」も、2017年(男子31.9%、女子40.7%)は2005年(男子48.4%、女子52.0%)より14%程度低い。

 大学生ではどうか。性交経験率は2017年(男子47.0%、女子36.7%)は、2005年(男子61.3%、女子61.1%)より約19%低い。キス経験率は2017年(男子59.1%、女子54.3%)は、2005年(男子72.3%、女子72.1%)に比べて約15%低く、デート経験率も2017年(男子71.8%、女子69.3%)は、2005年(男子79.0%、女子81.5%)に比べ約10%低下している。

 つまり、「パパ活」世代にあたる20代の、高校・大学生時代は「援助交際」が流行していた30代の高校・大学生時代に比べて、全体的に奥手だったことがわかる。

 では、なぜ、性的に奥手だったいまの20代女性に梅毒が広がっているのか? 社会人になって急に性に積極的になったのだろうか? むろん、その可能性もあるが、ここで注目したいのが「性交体験のある高校生・中学生の男女の比率」だ。じつは2005年を境に女子が男子を上回り、それ以降はその傾向が続いている。

 実際、「青少年の性行動全国調査報告」における高校生の性交体験率は、1999年(男子26.5%、女子23.7%)、2005年(男子26.6%、女子30.0%)、2011年(男子15.0%、女子23.6%)、2017年(男子13.6%、女子19.3%)となっている。

 同様に中学生の性交体験率を並べると、1999年(男子3.9%、女子3.0%)、2005年(男子3.6%、女子4.2%)、2011年(男子3.8%、女子4.8%)、2017年(男子3.7%、女子4.5%)で、2005年を境に女子が男子を上回っている。

 つまり、いまの20~30代の若い世代は全体的には奥手だったものの、一部に性交に積極的な層がいて、それが経験のない複数の異性と経験している可能性があるとの推測が成り立つのではないか。(おわり)

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