花粉症専門医に聞く(1)薬をギリギリまで我慢するのはOKですか?

暖冬でスギ花粉の飛散開始は例年より早い
暖冬でスギ花粉の飛散開始は例年より早い(C)iStock

 花粉症の人は身をもって感じているように、今年は暖冬でスギ花粉の飛散開始が例年より早い。

 くしゃみ、鼻水、鼻詰まりといった花粉症の症状が出始めている人は、躊躇なく花粉症の薬を飲むべきです。最もいいのは、花粉症の治療にたけている耳鼻咽喉科を受診し、自分の症状に合った薬を処方してもらうこと。ただ、今の時期の耳鼻咽喉科はとりわけ混んでいる。忙しくて病院へ行く時間がない人は、取り急ぎ市販薬を利用するのも手です。

 薬による花粉症対策は、いかに早く始めるかが肝心。花粉症は、最初から重い症状が出ることはありません。序盤はくしゃみが1日1~2回、はなをかむのが4~5回程度。

 徐々にくしゃみの回数が増え、中盤でははなをかんでもかんでも鼻水が流れるようになり、鼻詰まりがひどくなる。そして終盤に近づくとまた軽くなってきます。症状の程度の強さと発症からの期間をグラフで示すと、ちょうど山のような曲線になります。

 この山をできるだけ平地に近づければ、中盤の症状も軽く済みます。そのためには、序盤で薬を飲み始める。人によっては今年はもう遅いかもしれませんが、ベストは、序盤より前、あるいは、くしゃみはまだだが、鼻がムズムズし始めたかな、と感じたあたりで飲む。早い段階から飲み始めれば、薬の効き目が高いですし、種類も少なくて済みます。かかる費用も安くなります。

 花粉症の薬の多くは、効果がすぐに出ません。飲み始めてから効果を感じるまで1週間程度。「くしゃみの連続でどうにもならない」といった状況から飲み始めれば、効果を実感するまでより時間がかかります。複数の種類の薬が必要になることも珍しくありません。

 花粉症治療は先手必勝。先週半ば以降の悪天候と気温低下で、いったん花粉症の症状が落ち着いている人もいるでしょう。薬を飲み始めるなら、今日! 強くお勧めします。

 なお、「とりあえず市販薬で」という人は、スイッチOTC薬を選んでください。もともと処方薬だったのを、副作用が少なく安全性の高いことから、薬局やドラッグストアで買えるようにしたのがスイッチOTCです。ただ、処方薬と比べてやや割高なので、タイミングを見つけて耳鼻咽喉科を受診した方がいいですよ。(つづく)

▽大久保公裕(おおくぼきみひろ) 日本医科大学大学院医学研究科頭頚部感覚器科学分野教授。奥田記念花粉症学等学術顕彰財団理事長。NPO花粉症・鼻副鼻腔炎治療推進会理事長。

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