電車内で目撃情報!SNSで話題に…「トコジラミ対策」どうすればいい?

トコジラミに初めて刺された人は無症状
トコジラミに初めて刺された人は無症状

 3月10日、SNSの「X(旧ツイッター)」上で瞬く間に拡散されたトコジラミの目撃情報。<今帰りの電車なんですがこれってトコジラミだったりします?!>という投稿とともに、電車のシートとおぼしき上に茶色の虫がいる写真が。それから<トコジラミ>という単語がトレンドワード入りすることとなった。

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 トコジラミとはどんな虫なのか。

「Dr夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」(学研メディカル秀潤社)の著者で、トコジラミの生態に詳しい兵庫医科大学皮膚科学の夏秋優教授によれば、体長約5ミリの茶褐色の小さな吸血性昆虫。旅先などで荷物や衣類などに潜り込み、気づかないまま持ち帰り、自宅で繁殖するケースが増えているという。電車内にいるのもあり得る話だ。

 目視できる大きさとはいえ、「5ミリ」では、知らぬうちに洋服の中にいることも。刺された瞬間は気がつくものなのだろうか。

「刺されている最中にかゆみや痛みはほぼ感じません。刺された後は赤くなりますが、ほぼ症状が出ない人もいるし、かゆみがあってもたいていは1~2週間で自然に治ります。なお、トコジラミに初めて刺された人は無症状。症状が出たとしたら、刺されたのは2度目以降ということになります」(夏秋教授=以下同)

 虫に刺されたあとを見つけても、当然ながらトコジラミかどうかはわからない。様子見でいい?

「かゆみがひどくない場合は放置していてもいいですし、抗ヒスタミン剤やステロイドが配合された薬を塗って対処してもいいです。が、もし大きく腫れてしまったなら、すぐに皮膚科を受診してください。かき壊して炎症がひどくなることもありますから」

 刺されないようにする方法はあるのだろうか。

「トコジラミは夜行性で、日中に見かけることはほぼありません。人が眠っている頃に出てきて、手や首など露出している部分から先に刺します。たとえば、家族が数人並んで寝ているとしたら、露出部分が多い人のほうが刺される可能性が高い。虫よけスプレーは効果がないわけではないですが、トコジラミは塗ってない箇所を見つけて吸血する。塗り残しを一切なくして全身くまなくスプレーを塗布するというのは、なかなか難しいと思います」

■駆除には特別な薬剤が必要

 やはり外から家の中に持ち込まない、ということしか方法はないのかもしれない。もし家で吸血されたとわかった場合は……。

「昆虫は、たった1回の交尾で一生涯卵を産めるんですね。ですから、交尾済みのメスのトコジラミを外から1匹持ち帰ったなら、それが家で産卵して繁殖。何十匹、何百匹のトコジラミが潜んでいると考えていい。トコジラミが好む場所は、寝具の隙間やカーペットの下、カーテンや壁に飾られた絵の裏、畳の隙間などがあります」

 いま全世界で繁殖しているトコジラミは、一般的によく使われるピレスロイド系殺虫剤が効かない「スーパートコジラミ」。駆除するにはブロフラニリド、メトキサジアゾン、プロポクスルといった特別な薬剤が必要になる。

「家庭での駆除が困難な場合は『日本ペストコントロール協会』のホームページからお住まいの近くのトコジラミ駆除業者を探すのがいいかと思います」

 晩秋から早春は越冬しており活動しないが、気温が上がり始める頃に活発化するトコジラミ。まさにこれからだ。駆除しない限り、何度でも刺される。もし家の中で見つけたら、速やかに対策を。

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