ひどい腰痛も8割治る

若い頃からの腰痛が悪化…痛み止めも効かなくなった

年齢を重ねるうちに再び以前よりも悪化する方もかなりいる
年齢を重ねるうちに再び以前よりも悪化する方もかなりいる

 我々のクリニックのところに相談に来られる患者さんは、年齢やその事情、そして腰痛の原因や状態もさまざまです。

 ただ、よくあるのが、現役世代に腰痛を発症し、その時に施術などの対処を行ったものの完治にはいたらなかったというケース。多少は我慢できる程度に症状が軽減したため、そのままにして過ごしてきたが、やがて年齢を重ねるうちに再び以前よりも悪化した状態となり、痛みやしびれが出てきた──。こう訴える方はかなりいます。

 我々のクリニックを紹介するある雑誌記事を見て来院された79歳の女性もそうでした。

「鈍い痛みは30~40年前からあったんですけど、2年ほど前から急にしびれや痛みが出てきまして。藁にもすがる思いで……」

 症状を伺うと、長時間座った後に立ち上がった時や、歩いている時などに、両足の裏にしびれが生じるとのこと。

 7年前には脊柱管狭窄症の診断を受け、手術のご経験もあるのですが、それでも完治することはなく、症状が出て我慢できなくなると痛み止めを内服するようになったといいます。しかし、その痛み止めも次第に効かなくなっていき、いよいよなんとかせねば、という症状となったのでした。

 ちなみにこの方は脊柱管狭窄症を発症されていた同時期に子宮全摘出の手術を、さらに12年前と8年前には、不整脈に対するアブレーション治療も受けています。アブレーション治療とは、治療用のカテーテルを太ももの付け根から血管を通じて心臓に挿入し、カテーテル先端から高周波電流を流し、患部を焼いて不整脈を起こさないようにする治療です。

 診断した結果、なんらかの理由により椎間板が膨隆する椎間板膨隆が脊柱の数カ所に見られ、それによる椎間板ヘルニアもあるということで、主病名は脊柱管狭窄症、副病名は椎間板変性症となりました。

 さっそく椎間板の中に特殊なジェルを注入するセルゲル法による日帰り施術を実施。しかしこの方の場合、施術後1週間目には痛みが増したという報告をいただきました。椎間板の中の容積が一時的に広がったためであり、致し方ないことなのですが、そんな症状も1カ月もたつと、下肢やおしりなどの痛みやしびれは、ほとんど感じない程度に回復されていきました。

 このセルゲル法による治療では個人差もありますが、やはり施術後は少なくとも1カ月の時間をかけ、慣らしていくことが必要であると考えています。この患者さんは典型的なケースだといえます。

 さらに3カ月がたったあたりでは、もうすっかり痛みとしびれは消え、それまでと違い腰に力が入るようになり、大変喜ばれました。

 最近では筋力の維持のため、シルバー専門の運動クラブにも入会されたそうです。無理のない運動の継続をお勧めしたのでした。

(ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長)

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