健康医療データの読み方

外科専門医に必要な手術数は350例

写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
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 専門医と聞けば、「ゴッド・ハンド」ほどでないにせよ、それなりの実力を期待するはずです。

 しかし専門医の認定基準は、さほど厳しいものではありません。

 たとえば外科専門医。日本外科学会に、正会員として5年間以上、所属していること。日本外科学会が、研修施設として指定する病院で、5年間以上の修練を積むこと。外科に関連する病気やケガの知識と、臨床の手技などを習得していること。とりわけ術前・術後の患者管理や、麻酔の手技などが重視されています。

 もちろん、手術の経験も問われます。認定に必要な手術件数は、350例以上。執刀医としての経験は、そのうちの120例以上あればよい、とされています。ただしどんな手術でも構わない、というわけではありません。350例中、消化器など50例以上、乳腺10例以上、心臓・大血管10例以上、といった具合に、部位ごとに必要な件数が決められています。

 がん専門病院などに勤めていると、消化器や乳腺の手術数は簡単に稼げますが、その他の手術を経験できる機会はほとんどありません。

 そのため、他の病院に出向いて、足りない領域の手術に助手として参加するなどして、件数を稼いだりします。

 要するに外科専門医とは、外科として要求される、最低限の経験を積んでいる、という証しに過ぎないのです。

▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

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