人工透析なし10年 腎不全のバイオリニストが語る「食改善」

料理研究家でもあるリュウ・ウェイさん(左はポイントの雑穀)/(C)日刊ゲンダイ
料理研究家でもあるリュウ・ウェイさん(左はポイントの雑穀)/(C)日刊ゲンダイ

 通常、腎機能50%以下で慢性腎機能低下、30%以下で腎不全といわれる。しかし、わずか8%ながら、人工透析を受けずに活動しているのが、「人工透析なしで10年! でも元気な私の食生活」(講談社)を出版したバイオリニストで料理研究家のリュウ・ウェイ(劉薇)さんだ。その秘訣を聞いた。

 リュウさんが腎不全と診断されたのは2004年。「やがては人工透析になる」と医師に告げられた。

「人工透析を始めれば、演奏活動はできなくなる。絶対に人工透析は嫌だと思いました。それまで食には無頓着でしたが、食生活を一変しました」

 最初に始めたのは、病院の食事指導に従った、一般的な食事療法だ。しかし、次第に欲求不満が募っていった。

「食べ物の種類や量の制限ばかりで、質や添加物については全く問わない。ネガティブに考えるより、ポジティブに食べてよいものを知りたい、うまくやっていける食事法を知りたいと思うようになったのです」

■腎臓を養うための7つのルール

 その中で出合ったのが雑穀だ。雑穀は、リュウさんが子供の頃から親しんでいたもの。

「古来、受け継がれてきた低カロリーで滋養の多い雑穀食で病気を改善しようと決意しました」

 雑穀を取り入れても、すぐに腎機能の数値が安定したわけではない。一時は腎臓移植を覚悟したこともあった。しかし、雑穀を中心にさまざまな工夫を取り入れることで、腎機能の低下は止まり、むしろ少し良くなった。

 リュウさんがたどり着いた「腎臓を養うための7つのルール」は、次のものだ。

1.雑穀を食べる
「私が普段食べているのは、豆類も加えた“10種雑穀”です。たかきび、ひえ、もちきび、もちあわ、アマランサス、大麦、緑米、黒米、赤米、玄米を配合しています」

2.塩分量は一品ではなく一日で考える
「減塩を一日の合計で考えると変化に富んだ味付けができ、物足りなさを感じにくい」

3.キクラゲ、黒ゴマなど黒い食材を食べる
「黒い食べ物は生命力を強くします」

4.量より質
「満腹になることを目的にしない。旬の野菜を選び、無農薬、無添加の原材料で、シンプルな味付けで素材の持ち味を生かすようにしている」

5.動物性タンパク質は極力取らない
「タンパク質は、豆類や大豆食品から植物性のものを主に取っています」

6.利尿・排毒作用のある素材を取り入れる
「腎臓病になるとむくみやすく、疲れやすい。その原因になる老廃物を食べ物で排出します。小豆、そば、セロリ、春雨、キュウリ、冬瓜、ゴーヤ、トマト、レタスなどがおすすめ。雑穀や野菜はカリウムが豊富で、ナトリウムの排出に役立ちます」

7.酵素、アミノ酸、オメガ3に注目
「酵素の活性を失わない50度の低温調理がポイント。アミノ酸は筋力向上、免疫力アップに欠かせない。必須脂肪酸のオメガ3は体内で合成できませんので、麻の実やアマニ油、エゴマ油で取り入れています」

 簡単・手軽には健康は手に入れられない。「やろう」と思った時が、「やりどき」だ。

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