6割が歩行困難に 「陥入爪」招く間違った切り方と対策は

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「男性の約2人に1人は足の爪が巻き爪や陥入爪」という調査結果が発表された。放置すると、歩行困難になりかねない。

 巻き爪・陥入爪は女性に多い疾患と思われがちだが、「男性に多いという報告もある」と指摘するのは、「神楽坂 肌と爪のクリニック」副院長で、「オールアバウト」で「皮膚・爪・髪の病気」のガイドを務める野田真喜医師だ。オールアバウトが男女330人(男性168人)に行った調査でも、男性の45%が「経験あり」と答えた。

 同調査では、爪の切り方についても質問。すると、「食い込まないよう、爪の両角を丸く切る」と答えた人が約60%で、第1位。しかし、この切り方は、巻き爪と、巻き爪より深刻な陥入爪を引き起こす。

「巻き爪は、爪の横方向の湾曲が強くなる状態で、アルファベットのCやO、渦巻きのように変形します。巻き爪だけなら痛みがないこともありますが、放置すると爪の両端が足の皮膚に食い込み炎症を起こす陥入爪の原因にもなります。また、それほど巻いていなくても爪が食い込んで陥入爪に至る人が、特に男性に多い。その一因は、間違った爪の切り方にあると考えられます」

■足切断のリスクも

 陥入爪になると、炎症から痛み、腫れ、不良肉芽、感染などの症状が出てくる。梅雨は足元が蒸れるので細菌が発生しやすく、悪化しやすい。

「痛くてたまらないので足先をかばって歩くようになります。すると膝、腰に負担がかかり、新たな痛みの原因にもなります。糖尿病や足の血流障害がある人は、わずかな傷口から菌が入り、壊疽を起こし、最悪の場合、足切断になってしまうリスクもはらんでいます」

 比較的足先のケアに熱心な女性は軽症の段階でクリニックを受診する。しかし、男性は非常に悪化してから医師の診察を受ける人が大半だという。

 軽症から中等症であれば、内服外用治療やテーピング、変形した巻き爪に少しずつ力を加えながら形を整えていく「矯正」などで済む。しかし、悪化して受診した例では手術しか手がないことも珍しくない。

「麻酔を打ち、メスで皮膚を切開して爪母と呼ばれる爪を作る組織を取り除きます。当院では日帰り手術になりますが、術後3日間は足を極力胸の上まで上げて、足を使う時間を少なくし、安静にしてもらわなくてはなりません」

 安静が保てないと、痛みが引くまでに時間がかかったり、出血が長引く可能性がある。当然仕事どころではない。「たかだか爪のこと」と思っていたら、想像以上の身体的、時間的負担を強いられることになりかねない。

「だから、一番の対策は、足の爪が巻いてきている、ちょっと違和感があるなどと思ったら、まずは医師の診察を受けること」

 前出の通り、巻き爪・陥入爪は爪の間違った切り方が原因のひとつになる。爪は、指と同じかそれよりわずかに長い程度の長さにし、形は先端は直線状に、角は深く切らず軽く丸める程度にする。1カ月に1度、風呂上がりの爪が軟らかくなっている時に行うのがベターだ。ニッパー型の直刀爪切りを用いれば、理想的な形に切りやすい。

「足の指を締め付けるきつめの靴、5本指の靴下は避ける。ペタペタ歩かず、足の指をしっかり使って歩く。これらも、巻き爪・陥入爪の対策になります」

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