5つのタイプ…難病「乾癬」を見極める3つのポイント

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 あなたの「水虫」は、もしかしたら乾癬かもしれない。「東京逓信病院」皮膚科の江藤隆史副院長に聞いた。

 乾癬は、原因不明の難病だ。皮膚の新陳代謝が通常の10倍速くなり、さまざまな症状が表れる。男性は50代、女性は20代に発症のピークを迎え、日本では2対1で男性に多い。

 5つのタイプがあり、圧倒的に多いのが「尋常性乾癬」。皮膚に発疹が出て、カサカサ赤くなり、皮がむけ、フケのようなものが大量発生する。次に多いのが「関節症性乾癬」で、関節に炎症が起こり、痛み、腫れ、こわばりなどが出る。

「一般的には皮膚の症状が先に出て、その後に関節症状が表れます。しかし、進行状況は人それぞれ。『なんだかこわばる』と思っていたら、よく見るとお尻に少し発疹がある人や、関節症状だけが10年ほど続いている人もいます」

 50代のAさんは爪が白く濁っているので、爪の水虫「爪白癬」だと考えていた。見た目はよくないが、かゆみはないので放置していた。5年ほどたって、娘から「水虫なんて不潔」と言われたのを機に皮膚科を受診。医師が頭皮やお尻も調べると、臀裂付近に発疹があり、乾癬と診断された。

 40代のBさんは足首が痛く、痛風を心配していた。メタボ体形で、尿酸値も高かった。

 ある時からフケが出るようになり、やがてちり取りがフケでいっぱいになるほどに。皮膚科を受診したところ、フケは乾癬によるものであり、足首の痛みも、痛風ではなく乾癬の症状だった。

■新薬が続々登場

 江藤副院長は「乾癬の認知度はまだ低く、スムーズに診断に至っていない人も少なくない」と指摘する。原因不明なだけに、発症する可能性はだれにでもある。早期発見、早期治療のために知っておくべきことは次の点だ。

①尋常性乾癬の半数以上に爪症状が出る

 爪が白く濁ったり、変形していれば、一度、乾癬かどうかを調べた方がいい。Aさんが爪白癬と間違えたように、見ただけで乾癬に関係しているかの判断は素人には無理。医師にだって難しい場合がある。

「本来は爪の根っこを切り取る病理検査が必要。頭部、おしりなどに発疹ができていれば乾癬の可能性が高い。発疹は小指の先ほど小さく目立ちにくい場合もあります」

②関節症状があれば、乾癬も疑う

「高齢者では変形性関節炎も考えられますが、それらが出づらい年代や部位なら特に乾癬かどうかも調べた方がいい」

③メタボと乾癬は関連している

「メタボの人は乾癬を発症しやすく、乾癬の人はメタボになりやすい。それぞれに関わるサイトカイン(免疫システムの細胞から分泌される特殊なタンパク質の総称)が共通しているからです。ただし、乾癬の重症度がメタボに関係しているとは、その逆も含めて言えません」

 乾癬の治療は、①活性型ビタミンD3製剤やステロイドなどの塗り薬②紫外線を当てる光線療法③免疫抑制剤の服用④生物学的製剤による抗体療法が行われる。今年は立て続けに新薬が登場し、先月は①に該当する新しい配合薬が発売された。数カ月以内には生物学的製剤が2種類承認される見通しだ。これで生物学的製剤は全6種類になる。「この薬さえ使えば治る」といったレベルには至っていないが、治療の選択肢が増えた。副作用が強くて使えない、従来薬の効き目が落ちた、という人には福音だ。

「乾癬は関節が破壊される病気でもあります。そうなると関節が変形し、元に戻らない。早期発見、早期治療すれば変形を回避できる。さらに、乾癬によって増す心血管障害のリスクも下げられます」

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