重大病の“サイン”かも…高齢者の「むくみ」を甘く見るな

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 高齢になると足がむくみやすくなる。比較的ありがちな症状だが、甘く見ていると命にかかわる重大病を見逃してしまうかもしれない。高齢者の病気に詳しい「東京都健康長寿医療センター」(東京・板橋区)循環器内科の原田和昌副院長に話を聞いた。

 一般的に、高齢者は若い世代に比べて運動不足になるため、むくみが起きやすいという。
「血管には動脈と静脈があり、動脈は心臓から押し出される圧力で血液を全身に循環させています。一方の静脈は、全身に栄養を届け終わって心臓に戻っていく血液を循環させていて、足の筋肉の圧力をポンプとして利用します。運動不足が続くと足の筋力が弱り、ポンプの力が衰えてしまう。すると、静脈の循環が滞り、余分な水分や老廃物が血管から染み出して、むくみが起こるのです」

 この静脈の滞りがさらにひどくなると、「深部静脈血栓症」(エコノミークラス症候群)を発症してしまう。震災時などの避難生活で車内での寝泊まりが続き、体を長時間動かさずにいると静脈が滞り、足がパンパンにむくむ。そして、静脈でできた血栓が肺などに飛んで、ショック死を引き起こすのだ。

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