寝苦しい真夏の夜をスッキリ乗り切る

睡眠中の汗の乾燥が「眠りの質」のカギを握る

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 寝苦しい夏の夜でも睡眠の質を確保するには、「睡眠中の汗の乾燥」がカギになります。睡眠中には、コップ1杯程度の汗をかきます。体の内部の温度である深部体温を下げるためです。

 そもそも質の高い睡眠は、「深部体温が急激に下がること」によってつくられます。深部体温が下がるほど、体を回復する成長ホルモンの分泌が増えるのです。

 成人にとって成長ホルモンは「体を適正体重に保つ」という大きな役割があります。糖分や脂肪分を代謝し、昼間に過剰に飲み食いしたものを燃焼させ、翌朝に向けて元の状態に戻しているのです。

 また、夏に深く眠れなくなると体の疲れが取れないばかりか、「夏太り」になってしまう恐れもあります。そこでカギを握るのが、汗の乾燥です。

 体は、眠り始めに深部体温を下げようとして汗をかきます。ところが、日本の夏は湿度が高いので、体がいくら汗をかいても、その汗がなかなか乾燥しない。乾燥しなければ気化熱が生じないため、体は放熱できません。

 汗を乾かすには、水分を吸い取ってすぐに乾く「吸湿速乾」のパジャマを選びましょう。麻やガーゼ素材のものが最適です。ジャージーやスエットなど、汗を吸わないものは避けてください。

 また、毎日洗濯することも大切です。パジャマは、睡眠中の汗によって湿り、排泄された雑菌が大量に付着しています。面倒でもこまめに洗濯し、しっかり乾燥した状態で身に着けましょう。暑いから裸で眠るという人は、シーツやタオルケットが「吸湿速乾」の素材であることが条件です。

 ただ、大量に汗をかけばいいかというとそうではなく、注意が必要な汗もあります。ベタベタ張り付くような汗がそれにあたります。交感神経が過剰に働いているサインで、高血圧を招き、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めます。

 本来、睡眠中は体を活発にする交感神経の活動が低下し、逆にリラックスさせる副交感神経の活動が高まります。副交感神経が高まっているときは汗に酵素が多く含まれるので、サラサラしているのです。

 副交感神経の働きをサポートするには、首や仙骨(骨盤の真ん中にある逆三角形の骨)を温めるのが効果的です。レンジでチンするホットパックを首に当てたり、普段がシャワー浴ならば、せめて週に1日は入浴するなどして、自律神経のバランスを保ちましょう。