寝苦しい真夏の夜をスッキリ乗り切る

辛い食事や縄ベッド…「熱帯夜対策」は東南アジアに学ぶ

 年々、最高気温が更新され、日本の夏は、どんどん過熱しています。こうなると、これまでの熱帯夜対策は通用しなくなってきます。

 そこで参考にしたいのが、日本よりさらに高温多湿環境の東南アジアです。

 まずは、「体温の放熱」の工夫です。眠るためには、体の内部の温度である深部体温が急激に下がることが必要です。そのために、体は汗をかいて放熱しようとします。眠る前に汗をかくことが促進されれば、体はより放熱しやすくなります。

 そこで、夕食に熱く辛いものを食べてみましょう。暑いからといって冷たいものばかり食べていては、深部体温は下がる一方。起きているときに深部体温が下がれば、それだけ深部体温の勾配が緩くなり、いざ眠るときには下がりにくくなってしまいます。

 夕食に熱く辛いものを食べれば、深部体温は一気に上昇します。夕食時には深部体温は眠る準備のために下がり始めているので、このタイミングで上昇すると、その反動によって食べてから1時間後に急激に下がります。これでぐっすり深く眠ることができます。

 また、熱帯夜では、眠り始めに汗をかいても、ベッドに熱と湿気がこもって体が放熱できません。それを解消するために東南アジアで用いられるのが「縄ベッド」です。ベッド枠に網目状に縄が張り巡らされ、ハンモック状になっています。体の下が通気していれば、汗は空気に触れて蒸発しやすく、体の熱はどんどん逃げていきます。

 これと同様の仕組みをもつのが「すのこ」です。布団をすのこの上に敷くと、体の放熱を助けることができます。

 高温多湿が続くと、体の体温調節機能に負担がかかり、自律神経が乱れていきます。そこで、東南アジアで頻繁に行われるのが、水とお湯を交互にかぶる「交代浴」です。

 冷たい水がかかると血管は閉まり、血圧が上がります。お湯がかかると血管は開いて血圧が下がります。刺激に対する反応を鍛えることで、自律神経の働きが助けられるのです。

 これを参考に、朝でも夜でも入浴後には、ひざから下に水とお湯を交互に3回かけてみてください。重力に対抗して血流を吸い上げるふくらはぎの血管を狙って刺激すれば、効率よく交代浴と同じ作用を生み出すことができます。