中高年にとっての虫歯

重要なのはフッ素配合の歯磨き剤 研磨剤入りは要注意

研磨剤入りの歯磨き剤に注意
研磨剤入りの歯磨き剤に注意(C)日刊ゲンダイ

 日本人は80歳までに28本あるうち半数以上の歯を失う。歯周病と並んでその大きな原因といわれるのが虫歯である。

 中高年は虫歯から身を守るにはどうしたらいいのか?

 自由診療歯科医師で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長に聞いた。

「中高年の虫歯の問題は、歯茎が下がってエナメル質より軟らかい象牙質が露出しており、虫歯が進行しやすいことです。しかも、唾液の質と量が若い頃と違っているため歯垢がつきやすい。食後のブラッシングで機械的に歯垢を除去することももちろん大切ですが、強くブラッシングすると歯肉をさらに退縮させたり、軟らかい象牙質を傷つけたり、かえって歯を痛めてしまうことになります。そこでフッ素配合の歯磨き剤が重要になるのです」

 虫歯菌は口の中の食べかすを食べて代謝することで酸を出す。その結果、歯のカルシウムやリンが溶け出すことになる。

「フッ素は、虫歯菌が出す酸の働きを抑えるだけでなく、溶け出したカルシウムやリンを歯に再吸収する再石灰化を促進してくれます。その結果、歯の表面を酸に溶けにくい状態に修復して虫歯菌などの細菌から歯を守ってくれるのです」

 もっとも、医療機関で使われるフッ素は「9000ppm」なのに対して、市販の歯磨き剤に含まれるフッ素は「500~1000ppm」。大切なのは、数カ月に一度、歯科医院でフッ素を塗ってもらい、日々フッ素入りの歯磨き剤で歯を磨くことだ。

「医療機関でフッ素を塗る代表的な方法はトレーと呼ばれるマウスピースにフッ素を入れて浸す方法です。子供だけでなく大人にも有効です。フッ素イオン導入法で、電流により歯の奥までフッ素を取り入れる方法もあります」

 フッ素は怖いというイメージを持つ人もいるかもしれないが、歯磨きに使う程度のフッ素は体に問題は起きないといわれている。

「中高年は研磨剤が多く入っている歯磨き剤は歯を痛めるので避けた方がいいでしょう。また、泡立ちがよいものやハッカ入りのものは口をさわやかにしてくれるだけにすぎず、虫歯の予防に役立つわけではありません」

 中高年は虫歯になりにくい食事にも気をつける必要がある。よく噛んで唾液をたくさん分泌する食べ物を取ることが大切だ。

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