50代の6割が発症する白内障 術後のメガネ作りのポイント

1カ月半は期間を空ける
1カ月半は期間を空ける(C)日刊ゲンダイ

 年を取ると気になる病気が「白内障」だ。50代で6割、60代で8割が白内障になるといわれ、年間140万件もの手術が行われている。最も身近といえる手術だけに、いつ自分が受けることになっても不思議はない。その際は、術後のメガネ作りに注意が必要だ。

 白内障は、カメラのレンズに当たる目の中の水晶体が白く濁り、視力に影響が出る病気だ。視力が落ちたり、物がかすんだり、光をまぶしく感じたりするようになり、放置しておくと失明する危険もある。

 現在、唯一の治療法は外科手術で、濁ってしまった水晶体を吸い出して、代わりに人工の眼内レンズを挿入する。眼内レンズにはいくつも種類があるが、多くは保険適用の「単焦点レンズ」が選択されている。文字通り焦点の合う距離が1カ所で、遠くに焦点を合わせたレンズを入れれば近くが見えにくくなり、近くに焦点を合わせたレンズを入れれば遠くが見えにくくなる。どちらに焦点を合わせるかはその人の生活パターンにもよるが、遠くに焦点を合わせる場合が多い。いずれにしても、手術後はどちらかの距離に焦点を合わせるための「メガネ」が必要になるケースがほとんどだ。

 しかし、慌ててメガネを作って失敗する人もいるというから注意したい。「梶田眼科」(東京・港区)院長の梶田雅義氏は言う。

「一般的には、術後1カ月半は時間を置いてからメガネを作るように指導しています。水晶体の代わりに入れた眼内レンズが安定して視力が落ち着くまではある程度の時間がかかるのです。手術法の進歩によって、いまは昔ほどは視力の変動が起こらなくなっていますが、やはり1カ月半くらいの期間をみてからメガネを作った方が安心です」

 挿入する眼内レンズは、手術前にどれくらいの度数にするかを相談して決める。もともと強い近視だった人の場合、いきなり強い度数の眼内レンズを入れると見えすぎてフィットしないケースが多いため、眼内レンズはそこそこの度数にしておいて、メガネで調整するのが一般的だ。

■「レンズの保証期間」のチェックを

 また、白内障の手術を受ける前から老眼鏡や乱視用のメガネをかけていた人は、術後はそれまで使っていたメガネが合わなくなる。遠近両用の多焦点レンズもあるが保険適用外で高額なうえ、どうしても解像度が落ちるので見え方が曖昧になる。乱視用の眼内レンズは保険適用だが、乱視は矯正しきれないケースが多い。そのため、眼内レンズは単焦点を入れておいて、メガネで調整するのが快適だという。やはり、白内障の手術後はメガネが必要になるのだ。

 メガネ店を選ぶ際にも重要なポイントがある。メガネを作るなら、「レンズの保証期間」を設けている店舗にするのがおすすめだ。保証期間は店舗によって異なるが、3カ月程度の保証があれば安心できる。術後にメガネを作り、しばらくして度数が合わなくなってしまっても、保証期間内なら無料でメガネのレンズを交換することができる。

「いまは高齢者だけでなく、現役世代でも白内障の手術を受ける人が増えています。手術を受けてよく見えるようになったのはいいが、仕事をする上で快適に見えないのは困るという患者さんは少なくありません。たとえば、単焦点レンズを入れて遠くはよく見えるようになっても、パソコン作業などをするのにすぐに手元がしっかり見えないのはつらいといったケースです。そうした場合は、ひとまずその時点で合うメガネを作ってもらう。術後の視力は急激に変化するものではないので、安定するまではそのメガネで乗り切ることができます。そして、術後1カ月半ほど経った時点で視力に変動があって見えにくくなったら、メガネのレンズを交換すればいいのです」

 これなら、メガネを2つ作らずに済む。保証期間がある店舗で、手術の翌日にメガネを作ってもらう患者もいるという。

 また、安売りのメガネ量販店の中には、知識も技術もないスタッフがメガネを作るところもあるため、トラブルが起こる場合もある。見極めるのは難しいが、眼科と提携しているメガネ店なら安心材料のひとつになる。白内障は手術だけでなく、メガネ作りも大切だと覚えておこう。

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