メーカーも工夫さまざま 正しい老眼鏡の選び方を専門家指南

2017年受賞の土屋太鳳
2017年受賞の土屋太鳳(C)日刊ゲンダイ

「リーディンググラスをかけられるのは、大人の女性の特権よ」

 ファッションリーダーとしても知られる「ピチカート・ファイヴ」の3代目ボーカルの野宮真貴さん(58)は、そう言ったとか。リーディンググラスとは老眼鏡のこと。

「ウチでは野宮さんとのコラボで『美人リーディンググラス』を販売。中世の貴族が使っていたようなすてきな商品もあります」(「JINS」広報の石井建司さん)

「老眼鏡=老人」といったイメージを覆そうと、眼鏡メーカーはさまざまな工夫を凝らしているが、一方で「使いづらさがNG」という声も多い。

「主な要因は2つ」と言うのは、「メガネスーパー アイケアスクール」校長の吉野正夫さん。

 まず、必要とする視距離にレンズの度数が合っていない。次に、レンズの光学ポイントと視線が合っていない。

「目の老化(ピント調節力低下)を補うレンズには単焦点と累進多焦点があり、後者は遠近両用、中近両用、近近両用があります。使用用途に応じて使い分けをお勧めしますが、累進レンズの方が圧倒的に使い勝手がいい」(吉野校長)

■オーダーメードの方が快適

 1つのレンズに2つの度数が入ったのが累進レンズ。この場合、どのような日常生活を送っているかで何がベターかが異なる。

 手元の書類とパソコンを見ることがほとんどなら近近両用でいいだろうし、テレビ観賞と読書が日常なら中近両用がいいかもしれない。これが、「必要とする視距離にレンズの度数を合わせる」ということ。

「さらに、人によって視線の動きが違います。左右の目をどれくらい寄せるのか、下げるのか? 既製品のレンズは平均値に合わせているので、視線の動きと光学ポイントがズレることがある。値は上がりますが、オーダーメードでその人の自然な視線移動に合わせたレイアウトの眼鏡の方が快適です」(吉野校長)

 前出の石井さん、吉野さん両人が口を揃えるのが、「遠近両用は、老眼の初期で使い始めた方が慣れやすい」。

「老眼が進むと“遠”“近”の度数の差に開きが出ます。その開きが小さいうちに使い始めると、気持ち悪さを感じにくい」(石井さん)

 無理して老眼鏡を使わないでいると、変なところに力が入り、シワが増え、より老け顔になるかも。“大人の特権”を振りかざそう。

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