医者も知らない医学の新常識

「暗いところで本を読むと目が悪くなる」は間違いなの?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「暗いところで本を読むと目が悪くなる」とは、私も小さい頃に親や先生からよく聞いた話です。ところが、最近の医療記事などでは、それは間違いで目は悪くならない、という内容のことがよく書かれています。一体どちらが正しいのでしょうか?

 いろいろと調べてみると、2007年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という医学誌に載った解説記事がもとのようです。そこでは医療界の迷信のひとつとしてこの話題が取り上げられています。

 その記事によると、多くの眼科医の意見として、暗いところで本を読んだり、揺れる電車の中で本を読むことは、文字に目のピントを合わせることが難しい。目を調節する筋肉の疲労(眼精疲労)の原因とはなる。しかしながら、それは一時的なことで、視力の低下などの原因になることはない、という説明になっています。ただ、お子さんの時にそうしたことを繰り返すと、近視の原因になる可能性を指摘する意見があります。また、涙が少なくて目が乾燥するような病気の場合にも、病状が悪化する可能性があります。

 したがって、暗いところで本を読んでも、それだけで目が悪くなることはないのですが、お子さんでは近視の原因にはなりますし、目に病気があるとそれが悪化することもあるのです。結果、本は明るいところで読んだ方が良いことには間違いはないようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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