ストレスによる歯のトラブル

ストレスで口臭が…原因は唾液の質と量が変わること

ストレスが原因の口臭も
ストレスが原因の口臭も(C)日刊ゲンダイ

 連休でリフレッシュしたとはいえ、4月からの新生活でストレスを感じている人は口臭に気をつけた方がいい。ストレスが口臭の引き金になることがある。自由診療歯科医で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長が言う。

「口臭には、寝起きや空腹時など誰にでも起きる生理的口臭以外に、飲酒や喫煙やにんにくなど飲食物・嗜好品による口臭、虫歯や歯周病、鼻、のど、消化器などの病気が引き金になる病的口臭のほかに、ストレスが原因の口臭もあるのです」

 ストレスによる口臭は唾液と密接な関わりがある。唾液は血液をもとにして唾液腺でつくられる。唾液腺は「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」からなる大唾液腺と、「口唇腺」「頬腺」などの小唾液腺からなり、唾液の95%は大唾液腺から分泌される。耳下腺はサラサラした唾液が、舌下腺はネバネバした唾液が、顎下腺はその中間の唾液が分泌される。唾液は99%以上が水分で、本来無臭だ。口腔内の粘膜を覆うことで、咀嚼や嚥下や発音を容易にするほか、口腔内を洗浄・殺菌したり、食べ物を溶解して味覚を助けたりする。

「ところが人がストレスを受けるとネバネバした唾液が増え、唾液の分泌量は3割減るといわれています。唾液の分泌には自律神経が関係していて、ストレスで交感神経が強くなると舌下腺からの分泌が優勢になり、副交感神経が支配する耳下腺の分泌が減るからです」

 唾液には口の中を中和する能力があるが、ストレスがかかるとこの能力が低下。分泌量が減ることもあり、口腔内がカラカラに乾いて細菌が一気に増加する。そうなると歯周ポケットや虫歯の穴、あるいは歯垢中の細菌が食べかすを溶かして卵や魚の内臓が腐敗したような臭いを発しやすくなるという。 

 とくに舌の表面は角質が伸びて硬くなり、そのすき間に細菌や食べかすがたまった舌苔は、卵の腐ったような臭いがする。

「口臭対策として毎食後の歯磨きや歯間ブラシの使用、就寝前・起床後の洗口液による口腔ケアは当然です。さらに唾液量を回復するため、ともかくよく噛んで食べる、ガムを噛む、舌を動かす、耳からあごにかけての唾液腺をマッサージするといいでしょう」

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