役に立つオモシロ医学論文

大学生の38%が“問題的”…ネット依存度テスト衝撃の結果

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 インターネットを利用する人は年々増加していますが、健康にどのような影響を与えるかについては、あまり詳しく分かっていませんでした。

 そんな中、日本人大学生を対象に、インターネットの依存度と精神症状との関連性を検討した研究論文が「日本精神神経学会誌電子版」に2018年4月13日付で掲載されました。

 この研究では、日本の5つの大学に在籍する学生1258人が解析の対象となっています。被験者に対してインターネット依存度テストを実施し、さらに、睡眠の質、注意欠陥行動傾向、抑うつ症状、不安症状に関する聞き取り調査が行われました。

 調査の結果、被験者の38・2%が「問題的インターネット使用者」に該当していました。

「問題的ではないインターネット使用者」と比べて、問題的インターネット使用者ではインターネットの利用時間が長く、睡眠の質が低く、注意欠陥行動・抑うつ症状・不安症状の傾向が強いことが統計学的にも有意に示されました。

 また、問題的インターネット使用者は、男性に比べて女性で1・52倍、睡眠不足の人で1・52倍、注意欠陥行動傾向のある人で2・7倍、抑うつ症状のある人で2・24倍、不安症状のある人で1・43倍、統計学的にも有意に多いことが示されています。

 この研究結果は、問題的なインターネット使用者で精神症状を有する人が多いということを示しているだけで、問題的なインターネット使用が精神疾患を引き起こすというような因果関係を示すものではありません。とはいえ、インターネット依存度の評価は、精神症状に対する適切なケアを早期に提供できる可能性を秘めており、今後の研究データに注目したいところです。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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