タレントやモデルが告白「乾癬」治療に画期的な味方が

道端アンジェリカさん(左)、はるな愛さんも告白
道端アンジェリカさん(左)、はるな愛さんも告白(C)日刊ゲンダイ

 モデルの道端アンジェリカさんに続き、タレントのはるな愛さんも「乾癬」を告白した。病名を知る人は増えたが、それでもまだまだ十分ではないと専門家は指摘する。

■劇的に効く生物学的製剤が登場

「治療に巡り合えず、引きこもりや、人生を諦めた人も大勢います」

 こう話すのは、「東京乾癬の会」の大蔵由美さん。尋常性乾癬から乾癬性関節炎を発症。車イス生活も覚悟したが、生物学的製剤が登場し、それが劇的に効いた。今では健常者と全く変わらない生活を送っている。

「診断名すらついていない人もかなりいると考えられる」と言うのは、聖母病院皮膚科で乾癬外来を担当する小林里実部長だ。

「どういう病気か分からず怖いという思いや、治らない病気と告げられる失望感から、受診しない。しかし乾癬の苦痛は累積します。明確な社会からの拒絶や皮膚のダメージから来る恥辱、自信喪失、社会への不安、抑うつといった精神的併存疾患などの因子が複雑に絡み合って行動できなくなり、患者への障害となる。早期の適切な治療が重要なのです」(小林部長=以下同)

■6回投与で症状が90%以上消える

 長らく乾癬は画期的な治療法がなかった。

 しかし生物学的製剤が使われるようになった2010年以降、乾癬の症状がほとんどなく過ごすことが可能になった。このチャンスを逃す手はない。

 乾癬は、皮膚の新陳代謝が通常の6~7倍速くなる、慢性の炎症性疾患だ。原因ははっきりと分かっていない。皮膚が赤くなり(紅斑=こうはん)、盛り上がり(肥厚=ひこう)、銀白色のフケのようなもの(鱗屑=りんせつ)が出る。

「重症の場合、鱗屑は、服を脱ぐだけで床が白くなるほど。皮膚の痒みや痛みを伴うこともあり、乾癬の人を苦しめます」 乾癬には5つのタイプがあり、圧倒的多数を占めるのが尋常性乾癬。皮膚症状が典型的だ。次に多いのが、関節炎を合併する乾癬性関節炎で、動き出す時に強い関節の痛み、腫れ、こわばりなどが出る。この8割で皮膚症状が先に現れ、続いて関節症状や関節破壊が起こる。かつては治療法がなかった関節症状にも生物学的製剤の効果は大きく、早期に治療すれば関節破壊もない。

 さらに、「乾癬は皮膚症状や関節症状は深刻だが、死なない病気」と考えられてきたが、近年の研究で、心筋梗塞などのリスクファクターになることが明らかになっている。肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、痛風などの生活習慣病、乾癬性ぶどう膜炎、潰瘍性大腸炎やクローン病のメカニズムとも共通点があり、相互にリスクを上げる。そういった意味でも早期発見・治療が重要なのだ。

 現在、乾癬に承認されている生物学的製剤は7種類。「高額」「注射薬は経口薬より不安がある」「どこでも受けられるわけではない。承認基準を満たした承認施設のみ」「続けているうちに、薬剤の効果が弱くなる」といった点はあるが、新たな生物学的製剤の開発は今後も続き、これまでにない高い効果を得られる期待がある。

「生物学的製剤を6回投与した12週後には全身の皮膚症状の90%以上が消退し、見てもほぼ分からない状態になった患者さんもいます。関節炎が出ていた患者さんも、1年後に骨シンチグラフィー(骨の状態を診断する検査法)をすると、足趾関節の炎症の改善が確認されました」

 インターネットで「乾癬外来」と検索すると、複数の病院名が出てくる。一人で悩まず、まずは病院へ。未来が大きく変わるかもしれない。

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