道端アンジェリカさん公表 乾癬で知っておきたい4つのこと

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 10月29日は世界乾癬デーだった。モデルの道端アンジェリカさんが昨年「乾癬」だと公表したことで病名は知られるようになったが、病気の中身は浸透していないと、医師や患者が指摘。改めて、乾癬で知っておきたいことを専門医に聞いた。

■感染しない  

 乾癬は皮膚の新陳代謝が通常の約10倍早くなる病気だ。皮膚が赤くなる(紅斑)、盛り上がる(肥厚)、銀白色のフケのようなものが出る(鱗屑)などの症状がある。

 目立つ皮膚症状に加え、「かんせん」という病気の読み方から、「感染する病気」と思い込んでいる人がまだまだ多い。乾癬の患者会には、「温泉で入浴を断られた/二度と来ないでくれと言われた」といった声も寄せられている。

「500人を対象にした調査で14.5%が『感染する病気』と回答。一緒に風呂やプールに入ることに抵抗があると答えた人も8割近くいました。しかし、乾癬は感染する病気では決してありません」(東京逓信病院副院長兼皮膚科部長・江藤隆史医師=以下同)

■“完治”も可能

 現在、非常に効果が高い生物学的製剤が8種類承認。新たな薬の開発は今後も続く見込みだ。自殺も考えるほど症状がひどかった患者が、生物学的製剤との出合いで症状がほぼ消え、発症後諦めていたノースリーブも堂々と着られるようになるほど。このような例は珍しくない。

「医学的には完治ではない。しかし治療選択肢が増えた今、完治に近い状態で過ごせるようになる患者さんもいます。医師の“一生治らない”という言葉に悲嘆に暮れ、治療を諦めたり医療機関に来なくなる人もいますが、乾癬の治療経験が豊富な医師を探して治療を受けてほしい。患者会から情報を得るのも手です」

■もしかしてと思ったら早期治療が肝心

 道端アンジェリカさんは「乾癬と診断されたのは2017年1月ですが、異変は5~6年前からあった。インターネットで調べて乾癬だと思ったが、診断されるのが怖くて病院に行けなかった」と話している。

 しかし、乾癬を疑ったら、早期診断・治療が肝心だ。

「乾癬には5つのタイプがあり、皮膚症状が典型的な尋常性乾癬が圧倒的多数。そして皮膚症状が出た後、関節症状が出る場合も多い。生物学的製剤が効いても、関節の変形は元に戻りません。つまり、関節破壊が起こる前に治療を開始すべき」

■重大病のリスクを上げる

 近年の研究で、乾癬が心筋梗塞のリスクファクターになると明らかになっている。また、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、痛風とも関係がある。

「さらには、ぶどう膜炎、潰瘍性大腸炎、クローン病とメカニズムに共通点があり、相互にリスクを上げる。やはり、早期治療が重要なのです」

 治療選択肢が増え、“完治”が期待できるようになったとすでに触れた。しかしこの機会を得られなかったために、皮膚のダメージから来る自己否定、自信喪失、社会への不安、抑うつ状態などが重なり、精神疾患を併発する人、引きこもりになる人がいるのも問題だ。

 世界乾癬デーに先駆けて開かれたメディアイベントでは、乾癬の患者によるファッションショーが行われた。

 彼らは生物学的製剤などで、症状がかなり改善。「乾癬になって気分が落ち込み、服装にも気が回らなくなっていたが、明るい服を着られるようになってうれしい」「(乾癬で)いつも隅っこにいたが、勇気が出た」などの感想が出演者から上がった。

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