腎臓を守る

薄味に慣れさせるべし 腎臓を長持ちさせる食べ方・飲み方

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 腎機能が低下している自覚はあるが、仕事や人間関係から、これからの時期は宴会などでの飲食は避けられない――そんな人もいるはずだ。腎臓を長持ちさせるには食事やお酒のどんな点に気をつけたらいいのか? 腎臓病専門医で「松尾内科クリニック」(東京・桜新町)の松尾孝俊院長が言う。

「腎臓病の進行をストップするための食事の基本は、塩分、タンパク質、エネルギーのコントロールです。塩分の取り過ぎは過剰な塩分を尿中に排泄させるために糸球体の負担を強いることにつながります。タンパク質の取り過ぎは老廃物を多く生むため、これも腎臓には負担です。エネルギーの取り過ぎは肥満につながり、糖尿病や脂質異常症、高血圧を招き、腎臓の血管に動脈硬化を起こす。結果的に腎臓を苦しめます」

 本来、腎臓病患者の食事法はステージ(重症度)ごとに6段階に分かれており、ステージに応じた食事法が確立している。そのため、医師や栄養士の食事指導を受けることになる。

 とはいえ、あまり腎臓病への切実感のない人にとっては加工食品のエネルギー量や食塩量を栄養成分表示で調べながら食べるのは味気ない。そもそも、「塩分は1日6グラム以内」「タンパク質は良質なものを少量取る」などといわれてもピンとこない人も多い。どうすればいいのか?

「GFR値(糸球体ろ過量)が45以上の人なら細かいことは言わず、まずは舌を薄味に慣れさせる努力をしましょう。醤油などの調味料を直接料理にかけるのでなく、小皿に入れて料理に少しずつつけて食べるのです。すべてのおかずを減塩にするのでなく、1品のみ塩味を効かせ、残りは酸味やスパイスといった別の調味料を使うのもいいでしょう。むろん、減塩醤油や減塩味噌などを使うのは基本です。ただし、いくら減塩食品を口にしても量を取り過ぎれば逆効果なのを忘れずに」

 タンパク質は20種類のアミノ酸でできているが、うち9種類は食べ物でしか取れない必須アミノ酸という。良質なタンパク質とはこの9種類が理想的な配分で含まれている食品のことで、アミノ酸スコアが高い食品という。

「アミノ酸スコアが百点満点なのは、牛、豚、鳥などの肉類、アジ、イワシ、サケなどの魚類、卵、牛乳、大豆、大豆製品などですが、それをごはんと組み合わせて適切な量を取るのは難しい。そんな場合は低タンパク質食品を利用するといいかもしれません」

 腎臓だけでなく肝臓にも病気がある人以外はお酒は絶対に飲んではいけないものではないが、飲み過ぎは禁物だ。

「重要なのはアルコールの食欲増進効果でタンパク質や塩分などが過剰摂取にならないことです。外で飲むときはなじみの店をつくり、“肉の量を減らして”“塩分控えめに”など、わがままを聞いてもらいましょう」

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