疲れを取る食と酒とのつき合い方

正月休みに取り組みたい「7つの成分」を食べて疲労を撃退

鶏の胸肉なら1日100グラムでOK
鶏の胸肉なら1日100グラムでOK(C)日刊ゲンダイ

 正月だからといって好きなものばかり食べていたら、たまった疲れを残したまま仕事始めを迎えることになる。正月休み中に疲労を撃退する食事術を日本消化器病学会専門医の江田証氏(江田クリニック院長)に聞いた。

「かつて、疲労は細胞に乳酸がたまることが原因で起こると考えられていました。しかし、すでに乳酸説は否定されていて、いまは体内で発生した活性酸素が細胞を傷つけることが疲労の原因であることがわかっています。つまり、疲労を回復させるには活性酸素の発生を抑えることが大切です。同時に人には体を動かすためのエネルギー『ATP』を産生するTCA回路というシステムが備わっています。この回路をスムーズに稼働させることも疲労回復につながります」

 抗酸化作用とTCA回路の効率を高める科学的根拠を持つ7つの成分が豊富な食品を挙げてもらった。

①鳥の胸肉

 抗酸化作用と持続的な疲労軽減効果が科学的に認められている「イミダペプチド」を豊富に含んでいる。

「1日200ミリグラムを2週間摂取し続けると効果が表れます。鳥の胸肉なら100グラムが目安で、コンビニで売っているサラダチキンは1つ100グラムで、これを2週間毎日食べるのもいいでしょう」

②イワシ、サバ、豚肉、ホウレンソウ

 強い抗酸化作用があり、ATP産生の効率を高める「コエンザイムQ10」が多い。推奨摂取量は1日30~100ミリグラム。食品100グラム当たりの含有量は、イワシ6.4ミリグラム、サバ4.3ミリグラム、豚肉3.8ミリグラム、ホウレンソウ1.0ミリグラム。いくつか組み合わせて食べたい。

③梅干し、黒酢、レモン

 TCA回路の潤滑油としてスムーズに循環させる「クエン酸」が多く含まれている。

「1日の推奨摂取量は1000~2000ミリグラムですが、梅干しなら2個、黒酢は大さじ1杯程度でも毎日とれば効果が期待できます」

④レバー、納豆、ニジマス
 ビタミンB1とともに脂質の分解を促してATP産生効率を高める「パントテン酸」が豊富。レバーなら、鳥、豚、牛のどれでもよく、1日の推奨摂取量5ミリグラムを十分に賄える。

⑤トマト、ピーマン
 炭水化物の代謝を促進してATP産生を助け、抗酸化作用もある「α―リポ酸」が多い。

⑥豚ヒレ肉、生ハム、タラコ
 同じく炭水化物の代謝をサポートしてATP産生を助ける「ビタミンB1」が多く含まれている。1日の推奨摂取量は1.1~1.4ミリグラムで、100グラム当たりの含有量は豚ヒレ肉0.98ミリグラム、生ハム0.92ミリグラム。

⑦牛ヒレ肉、ラム肉
 脂肪の燃焼を促進してATP産生をサポートする「L―カルニチン」が豊富。

「1日200ミリグラムが必要量といわれています。牛ヒレ肉100グラムで59.8ミリグラム、ラム肉なら80ミリグラムを摂取できます」

 7つのタイプを意識して食事をすれば、疲労とはオサラバできる。

(取材・文=松本滋貴/日刊ゲンダイ)

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