ステージⅣがん治療を断るとどうなる

がん宣告でも慌てずに これから健康に生きる方法を考える

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 “進行性のステージⅣの扁平上皮がん(食道がん)”と宣告されてから、間もなく半年が経とうとしている。治療を断り、退院する時には“明日にでも全身に転移し倒れる”とまで脅された体は元気だ。

 前回も記したように、左頚部の腫れは、まだしぶとく残ったままである。嚥下(えんげ)に苦労はしているものの、ようやく少し小さくなってきた。医師はがんの転移だと言い、相変わらず治療を勧めるが、治療を断ったからこそ元気で年が越せたと思っている。

 現に、血液検査では内臓数値およびがんの腫瘍マーカーは全て正常値なのだ。そして、この検査も今月で終わりにしようと思っている。私の気が変わり、治療を受ける気になるだろうと医師が勧めた検査だからだ。私のがん治療や医師に対する考え、気持ちには何の変化もない。だからといって私は楽観視しているわけではない。ある日突然“食道がん”を宣告されたことが想定外だったように、私の体が今後どう変化するか、全く予測がつかないからだ。

 しかし、私はがんの宣告を受けて以来、友人、知人らから多くのアドバイスをもらった。たとえば、左頚部の腫れで水分が食道を通りづらいことを聞いた方は、栄養価のあるものの取り方、そして免疫力を高めるために体を温めること、体温を上げる方法を教えてくれた。楽しい話題でたくさん私を笑わせてくれた方もいた。これらの一つ一つが私のパワーになっている。

 私は、がん宣告後のこの半年を“健康”に過ごしてきた。がんは誰にでも訪れる。慌てることはない。がんの宣告を受けた時、即断せず一呼吸置き、これからの人生を“健康”に生きていく方法を考えることだ。自分の年齢、体力、症状、もろもろを判断して、それから治療についての決断を下しても遅くはない。

 人間の体は思っている以上にタフであること、回復力、治癒力があることを知るといい。そこに、私のように医師の治療を一切受けない方法も選択肢にあることを思い出していただければ幸いだ。

笹川伸雄

笹川伸雄

ジャーナリスト。1946年、宮城県生まれ。医、食、健康のジャンルを得意とし、著書に「妙薬探訪」(徳間文庫)など

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