検査数値 裏読みナナメ読み

飲酒の影響を知る"代名詞"「γ-GTP」上昇には他の要因も

健康診断“パス”だけの禁酒や節酒じゃだめ
健康診断“パス”だけの禁酒や節酒じゃだめ

 お酒を飲まれる方が気にする検査項目の定番でしょう。「γ―GTP」は、ご存じのように肝障害をチェックするマーカー(目安)で、血液検査で分かり、とりわけアルコール性肝障害の診断には欠かせません。ほかの肝機能検査項目に異常がなく、これだけが基準値(男性=10~50IU/L、女性=9~32IU/L)を上回っていたら、まずアルコール性と考えられます。

「ガンマの数値が上がっちゃって、ちょっと控えないと」

 そんなふうに節酒を心掛けることは、決して悪いことではありません。節酒をさらに進めて、2週間ほど禁酒すると、数値はかなり下がり、基準値を少々上回っていた程度なら問題ないレベルに下がるでしょう。

 しかし、それで毎年1回の健康診断を“パス”すると、本当の意味で健康とはいえません。検査のときだけの“見せかけの健康”は、悪い生活習慣を定着させて、潜在的な病気が見過ごされる恐れがありますから。数値が変動しやすいγ―GTPは、その最たるもの。生活改善で数値が下がらなくなったときに、病気が“新発見”されても遅いのです。

 特に100を超えているようなときは、脂肪肝が進行していて、肝炎が慢性化している恐れがあるでしょう。すぐに節酒です。飲酒せずに100超なら、すぐに再検査が必要でしょう。

■海外旅行後に100を超えて

 基準値以内だった方が突然、γ―GTPが100超になったら、肝炎ウイルスによる急性肝炎かもしれません。経口感染するA型やE型の肝炎ウイルスに感染すると、数週間の潜伏期間の後に38度以上の発熱から始まり黄疸や食欲不振、吐き気といった急性肝炎症状が表れます。インドや東南アジア、中国などで感染しやすいといわれています。

 さらに200以上だと、胆石や胆道がんなどによって胆道が詰まっている可能性も。肝臓だけではなく、胆道やすい臓などの病気の影響で数値が上昇することもあるのです。

 γ―GTPの数値は個体差が大きく、男性は飲酒しなくても女性よりやや高い数値になりやすい。男性の基準値が女性より高いのはそのためです。また、女性が妊娠すると、分娩直前には妊娠前の2分の1近くに低下します。サプリでプロポリスを摂取していると、上昇しやすいといわれています。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長ョ 

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