“特効薬”も出た 池江璃花子が発症の「白血病」は怖くない

「完治する病気」と本人は前向き
「完治する病気」と本人は前向き(C)日刊ゲンダイ

 2020年東京五輪で金メダル候補筆頭の競泳女子、池江璃花子(18)が白血病と診断されたことを12日公表し、大騒ぎになっている。白血病は「血液のがん」と呼ばれる難病だが、池江自身はツイッターで〈しっかり治療をすれば完治する病気でもあります〉と前を向く。本当に大丈夫なのか。

 白血病は大きく、急性骨髄性と慢性骨髄性、急性リンパ性、慢性リンパ性の4種に分類される。急性白血病は、貧血や発熱などの症状が急に表れるが、慢性白血病は症状がないことも多く、健康診断などで偶然に見つかるケースがあるという。

 治療は一般的に、複数の抗がん剤投与で病状がほぼ消失する「寛解」を目指すのが“第一歩”。治療の末、骨髄中の白血病細胞の割合が5%以下に低下すれば、抗がん剤で白血病細胞をさらに減らす「地固め療法」に入る。ところが、一度治ったと思っても、再発した場合は骨髄移植を検討することになるという。いずれにせよ、長い闘病生活が必要になるが、決して「絶対に治らない」というわけではない。

■白血病細胞の“狙い撃ち”が可能

 日刊ゲンダイで連載中の「がんと向き合い生きていく」(17年4月12日号)で、都立駒込病院名誉院長の佐々木常雄氏は〈若年成人(65歳未満)の急性骨髄性白血病はタイプによって異なりますが、50%以上の方が「5年生存」=「治癒」する〉と話していた。

 さらに、ここ最近は“特効薬”が出てきている。一般名「イノツズマブ オゾガマイシン」と呼ばれる分子標的薬で、昨年1月に販売認証が下りた。最新の検査法とあわせ、白血病細胞の“狙い撃ち”が可能。新薬投与で、早い段階から陰性になるケースもあるというのだ。

 白血病から復活した有名人も数多い。俳優・渡辺謙は1989年、初主演映画の撮影中に急性骨髄性白血病を発症。約1年間の闘病の末、復帰したが、94年に再発した。再治療を経て、今は完全復活。ツイッターにきのう、〈今の医学を信じ、自分の生命力を信じ、前を向いて焦らずにしっかり治療に専念して下さい〉と投稿し、池江にエールを送った。

 女優の吉井怜も池江と同じ18歳(2000年)で発症。母親からの骨髄提供を受け、現在も活動中だ。元宮城県知事の浅野史郎氏は09年、特殊な白血病である「成人T細胞白血病」を発症した。16年には日刊ゲンダイのインタビューで元気な姿を見せ、現在も講演活動などを行っている。「血液のがん」だからと、絶望する必要はないようだ。

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