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慢性的な痰が喉に…CT検査で調べるのは「鼻」と「肺」

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 風邪や鼻炎などで痰や鼻水に苦しんだことがあるでしょう。病気でなくても、痰や鼻水などは口から出るだけでなく、半分は喉の後ろから食道を通って胃に落ちるので、問題はありません。医学的には後鼻漏といいます。問題は、鼻や副鼻腔の炎症で痰や鼻水が増え過ぎたり、後鼻漏が気管に落ちたりするケースです。

 その典型的な病気が副鼻腔炎。かつては、蓄膿症といわれた病気です。風邪などによって生じる急性の副鼻腔炎は、薬で比較的すぐによくなります。粘膜の働きが悪くなって膿を排出する能力が低下したり、粘膜そのものが腫れたりすると、さらに炎症が治りにくくなるという悪循環に。それが慢性副鼻腔炎です。

 慢性副鼻腔炎は、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎や喘息などがあると悪化しやすい。ひどいときは、炎症が拡大して、「鼻茸」といわれるようなポリープができたり、骨の構造が変わって顔が歪んだりして大変です。慢性的に後鼻漏を感じている人は要注意。そこの原因を調べる検査が副鼻腔のX線検査やCT検査です。

 このような痰は、湿った咳を伴いやすいのが特徴。前回、お話しした咳喘息でも起こりますが、たばこを吸われる方は、注意してください。

 肺気腫と慢性気管支炎を総称して、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といいます。たばこの生活習慣病ともいわれ、進行はとてもゆっくり。息切れや息苦しさのほか、慢性的な痰や咳を伴います。

 たばこそのものが痰や咳を起こしますから、病気を連想しにくいのです。

 こちらの病気をチェックするときは、何よりも呼吸機能検査のスパイロメトリーで、胸のCT検査も重要です。スパイロでは、1秒に吐く量を調べて、全体の70%を下回るとよくありません。

 気管支の炎症によって組織の破壊が進むと、痰に血が混ざることがあります。その場合は、気管支拡張症が疑われ、造影剤を用いたレントゲン検査をプラス。

 こうしてみると、慢性的に痰が長引く病気は、こじれると厄介なことが分かるでしょう。痰はありふれた症状ですが、軽く見ないこと。後鼻漏がある人は、すぐに検査を受けることが無難です。
梅田悦生・赤坂山王クリニック院長

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