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原因はさまざま めまいをチェックする眼振検査の中身

原因はさまざま
原因はさまざま(C)日刊ゲンダイ

 めまいは、耳鼻科で扱う病気ですが、平衡感覚に関係する内耳や視覚などの異常が重なっているケースもあれば、血圧や脈拍の変動、貧血などによって起こるケースもあります。原因がさまざまで、いろいろな病気が関係しているため、検査もたくさんあって診断に時間がかかることがあるのです。

 その中でも重要なのが、眼振検査です。めまいがあると、体の平衡も乱れるため、目の動きも乱れます。その乱れた動きは、何かを見つめている時より、視界を遮った時によく表れるため、暗い部屋で特殊なメガネをかけて調べます。

 そのメガネをかけると、検査を受ける人は目の前がよく見えず、医師には目の動きがチェックしやすいのです。

 患者さんが座った状態で調べる自発眼振、寝た状態でチェックする頭位眼振、寝かせたり引き起こしたりした時の様子を観察する頭位変換眼振などのほか、眼振を電気的に記録する電気眼振図検査(ENG)もあります。

 目の動きの乱れは、体の平衡が乱れるほどひどくなくても、その乱れを反映します。ですから、眼振の検査が重要なのですが、眼球の動きを制御しているのは、内耳と小脳と脳幹を結ぶ三角地帯で、めまいはそこのトラブルを暗示します。

 そのトラブルの原因として多いのが循環障害です。立ち上がった時にふらっとする起立性調節障害や貧血は、三角地帯への血流減少による酸素不足のため。眼振検査のほか、血圧測定や血液・尿検査などを行って調べます。

 内耳は、バランスを取る三半規管と耳石のほか、聴覚をつかさどる蝸牛の3つに分類。三半規管や耳石に異常があると、めまいが生じます。その代表が良性発作性頭位性めまいで、耳石の移動によって発症。靴の紐を結ぼうと下を向いた時、棚のモノを取ろうとして顔を上げた時、寝返りを打った時などに突然、回転性のめまいに襲われて不安になることがあるでしょう。

 突然片方の耳が聞こえにくくなる突発性難聴は蝸牛のダメージが原因ですが、三半規管などへの障害も往々にしてあるため、めまいを合併しやすい。メニエール病も、内耳の水膨れによるめまいと難聴を伴うことがよくあります。

 このような病態がベースにあるため、眼振検査のほか聴力検査が欠かせません。さらに突発性難聴は、内耳の障害や脳の異常と区別するため、脳のCT検査をプラスすることもまれではありません。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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