香川県高松市西植田町へ、日刊ゲンダイ記者が取材に行った時のこと。ブロッコリーの収穫体験をさせてもらった。包丁でスパッと“アフロヘア部分(花蕾)”の下の茎を切り、その周辺から生える葉を落としていく。葉っぱを捨てるのはもったいないなぁと思っていると、ブロッコリー栽培農家のお兄さんがポツリ。
「これ、お好み焼きにするとおいしいんですよ」
ブロッコリーのアフロヘア部分は栄養価が高いことが知られる。実は葉も負けず劣らず栄養価が高いそうだ。取材の同行者が飼っているモルモットは、アフロヘア部分よりも葉を好んで食べるそうだが、栄養価が高いということを、本能的に知っているのかもしれない。また、ブロッコリー栽培農家近くの牧場にいるヤギ20頭は、ブロッコリーの葉っぱをエサにしており、そのお蔭で丸々太っているとのこと。さすがである。
ブロッコリーの葉をもらって帰り、早速お好み焼きにしてみた。葉を適当な大きさに刻み、自宅にあった強力粉を少量ふりかけ、肉屋でもらった天かすを加え、溶き卵で全体を混ぜる。熱したフライパンに油を敷き、カリッと両面を焼き上げたら出来上がり。
「キャベツで作るより甘い」とブロッコリー栽培農家のお兄さんは言っていたが、まさに! ソースより、ポン酢が合うように感じた。大阪出身なのでお好み焼きは大好物。今後も手に入るなら、お好み焼きはキャベツではなくブロッコリーの葉で作りたい。大阪の実家の家庭菜園でブロッコリーを育てる両親にも、すぐに連絡を入れた。
横浜創英大学名誉教授の則岡孝子氏(管理栄養士)は、ブロッコリーの栄養価について、こう言う。
「注目すべきは、ブロッコリーに含まれるスルフォラファンという成分です。抗酸化作用や腫瘍(がん)の形成を抑制する働きのほか、ピロリ菌減少やスギ花粉による炎症反応緩和などの研究結果などが報告されています。また、脳細胞を活性化させる葉酸が豊富。葉酸は抗うつ作用もあります。ブロッコリーは葉や茎も捨てずに、ぜひ積極的に食べてほしいですね。葉はおひたしや炒め物にしてもおいしい。茎は、線維に沿って切って調理すると、便秘解消やダイエットに役立つ食物繊維を多く取れます」
やがて、ブロッコリーの葉もスーパーの棚に並ぶようになるかもしれない。