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腰痛で原因特定は15% ヘルニアも狭窄症もMRIが決め手

GWの大移動、長時間、座っていると、腰への疲労が蓄積
GWの大移動、長時間、座っていると、腰への疲労が蓄積(C)共同通信社

 旅行したり、キャンプしたり。GWにあちこち出掛けると、気持ちはリフレッシュしますが、運転や新幹線・飛行機などの移動で長時間、座っていると、腰への疲労が蓄積します。そのままデスクワークに入ると、大変です。腰痛が慢性化し、歩いているときも腰が何となく重い。そんな人もいるでしょう。

 産業医としてサラリーマンの方々に耳を傾けていると、最も多い症状のひとつが腰痛です。それが続くと、朝起きて顔を洗おうとしたり、身支度を整えて出社しようとしたりしたときに、いててて……。そう、ぎっくり腰と呼ばれる急性腰痛症です。

 腰の回りの筋肉や骨、腰椎のクッションの役目をする椎間板などに異常があるケースもありますが、多くは画像検査に異常が認められず、原因が分かりません。一般の腰痛症ならなおさらで、腰痛の原因を特定できるのは15%といわれます。

 では、原因が特定できるのは、どんな場合か。腰そのものに原因があるのは、腰椎ヘルニアや脊柱管狭窄症や腰椎すべり症がひとつ。

 いずれも、背骨を構成する腰椎の中を神経が圧迫されるため、その神経の圧迫部位によって、腰の痛み以外の症状が重なります。特に多いのが、脚の痛みやしびれ、それに伴う歩きにくさです。ヘルニアは片脚に、脊柱管狭窄症とすべり症は両脚に症状が表れます。

 脚を伸ばしたまま上げると、痛みやしびれが増すかどうか調べるのが、下肢伸展挙上試験。これに反応したり、X線やMRIなどの画像で圧迫部位を調べたりしてヘルニアをチェックします。ほかの2つも、圧迫部位の同定が大切で、X線よりMRIが効果的です。

 腰椎の骨折やがんの骨転移がもうひとつ。高齢で腰が丸くなるのは、骨粗しょう症による骨折のためで、X線と骨密度で調べます。骨転移はX線で骨の破壊像を認め、さらに骨の形成を調べる骨シンチグラフィーをプラスします。脊髄そのものの腫瘍はX線では分からないので、MRIです。

 腰以外に原因があるのは、尿路結石や子宮の病気、胆のう炎や十二指腸潰瘍などの消化器疾患が知られていますが、たとえば尿路結石なら背中や排尿時の痛みのように病気に関連する症状が加わります。一般に腰痛よりそちらの症状が気になるはずで、対応する診療科で適切な治療を受けると、腰痛も良くなります。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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