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夏休み旅行者は要注意!東南アジアで麻疹が大流行している

夏休みの海外旅行は注意
夏休みの海外旅行は注意(C)共同通信社

 夏休みに海外旅行を計画している家族は注意が必要。東アジアや南アジアを中心に麻疹(はしか)が流行中だ。

 香港では今年に入ってから感染者が相次ぎ、空港職員や妊婦への感染まで確認された。感染地域は香港に限らず、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、モルディブ、インドネシア、台湾などアジアの広範囲に及ぶ。

 一方、タイでは雨期にもかかわらず、インフルエンザが大流行。タイ保健省によると、先月の時点で18万人がインフルに感染し、少なくとも14人が死亡したという。熱帯モンスーン気候のタイは6~10月が雨期で、とくに7月は月別平均最高気温が36.8度、湿度76%、8月は気温37.0度、湿度80%の高温多湿。通常、インフルエンザウイルスは高温多湿を嫌うものだが、タイを訪れた人ならわかるように、商業施設のエアコン温度が22~23度くらいまで下げられている。またタイでは大気汚染も深刻で、これも影響しているという報道もある。

 さらに、麻疹とインフルの流行に共に関連しているのが、アジア圏の国際都市としての進化だ。観光やビジネスで海外から頻繁に人が行き交い、ウイルス拡大の要因にもなっている。

 日本国内で報告された麻疹ウイルスの遺伝子型も、フィリピンやベトナムなどで確認されているD8株やB3株が中心。海外から帰国した人が日本に持ち帰ってきた可能性が高い。

 東京都内だけでも、今年に入って101件の麻疹の感染が報告されているが、やはり推定感染地域はフィリピンやベトナムが並ぶ。

「GW明け直後の5月13~19日の20週目が17件の感染と数字がはね上がりました。ただし、医療機関が休日で、報告が遅れただけの可能性も否定できません。このペースは大流行した2011年に匹敵する感染数です」(東京都感染症情報センター担当者)

 麻疹は空気、飛沫、接触のどのルートでも感染し、感染力が極めて高いのが特徴。好発年齢は1歳が最も多いが、近年は成人の感染が増えている。先の東京都のデータでは、30代男性が最も多く、次が20代男性。1978~90年に生まれた人は、予防接種が1回だけ義務化されていた世代で、20人に1人の割合で免疫が不足する人がいるとされる。

 一方、2回接種が義務化された90年以降生まれの人は理屈上は免疫があるはずだが、実際に接種を受けた人が8~9割だったのだ。

 麻疹は子どもが発症する感染症だと思ったら大間違い。夏休みの海外旅行には気をつけたい。

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