タイプ別3つの「痛みナビ体操」で頑固な腰痛にサヨウナラ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その人の腰痛に合った「痛みナビ体操」で、これまでなかなか良くならなかった腰痛を改善しているのが、「お茶の水整形外科」(東京)の銅冶英雄院長だ。自身のひどい腰痛を克服した経験からその体操は生まれた。銅冶院長に話を聞いた。

 腰痛といっても、腰に負担をかける姿勢が問題の姿勢性腰痛もあれば、脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症などもある。しかし、銅冶院長が勧める「痛みナビ体操」は、病名は関係しない。

「病名ではなく、どういった動きで腰痛がひどくなるかを見て、行う体操を決めます。神経の圧迫改善が痛みやしびれの改善につながるのですが、神経圧迫は複数の原因が絡み合って生じているので、“この病名だからこの体操”と単純には決められないのです」

 痛みをナビゲーターにして痛みを解消するから「痛みナビ体操」。自分に合った体操を選ぶには、次の3つの動きを試す。すべて足は肩幅に開いて行う。

A 手を腰に当て、体を後ろに反らす。

B 手をだらりとさせ、体を前に倒す。

C 手を腰に当て、肩を水平に保ったまま腰を左に動かし、次に右に動かす。

「2~3秒かけてゆっくり動かし、痛みの範囲、強さ、動きやすさの変化をチェックします。痛みを感じる範囲が小さくなれば改善、大きくなれば悪化。痛みが弱くなれば改善、強くなれば悪化です。歩きやすさや立ち上がりなどがスムーズになったら改善です」

 痛みの範囲や強さ、動きやすさが最も改善するものをA~Cから選ぶ。

 Aなら「後屈改善型」、Bなら「前屈改善型」、Cなら「側方改善型」。

 合う体操はそれぞれ異なる。絞り切れない人もいるそうだが、たいていはどれか一つに決まる。

 体操もすべて、足は肩幅に開いて行う。

■後屈改善型→壁反らし体操

①壁に向かって立つ。1歩離れ、両手を壁につき、腰を前に突き出すようにして腰を反らす。

②反らした状態を2~3秒保ったら、元の姿勢に戻す。

■前屈改善型→壁おじぎ体操

①壁に背を向けて立つ。1歩離れ、両手を腰に当て、壁にもたれかかる。骨盤を壁から離さないようにしながら、体を前に倒す。

②倒した状態を2~3秒保ってから、元の姿勢に戻す。

■側方改善型→お尻ずらし体操

①左右どちらか腰痛が強い側の反対側を壁にして立つ。左側が痛い場合は、体の右側を壁に。

②壁から1歩離れ、ひじを曲げた状態で壁につけ、もう一方の手は骨盤に置く。両肩とひじを水平に保ちながら、お尻を壁側にずらす。

③ずらした状態を2~3秒保ったら、元の姿勢に戻す。

「2~3秒かけてゆっくり動かします。可動域は小さくてもいいので、下部腰椎をしっかり動かすことがポイント。そのためには、壁おじぎ体操は骨盤を壁から離さないようにし、お尻ずらし体操は両肩とひじを水平に保つ。フォームが乱れると効果が薄れます」

 体操は3つとも、10回を1セット。

 腰痛が軽ければ1日に3~4セット、強ければ10セット以上が目安。

 一気にやらないで、1日の中でちょこちょこ均等に。壁があればどこでもできるのがいい。

 効果が出るまで1週間ほど。

「体操で痛みが増したり、1週間やっても効き目を実感できなければ、理学療法士が指導してくれる整形外科を受診すべき。また、腰椎の異常でマヒがある人や尿を出せない、背骨に骨折がある人は腰痛ナビ体操を行ってはいけません。整形外科の受診が必要です」

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