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インプラント治療はきちんとした学会に所属する専門医を選ぶ

経験豊富な先生にお願いする
経験豊富な先生にお願いする(C)日刊ゲンダイ

【Q】インプラントに関して信用できる先生を見極める方法はありますか?

【A】大きな広告を出していたり、ホームページで過剰な宣伝をしているところは注意したほうがいいでしょう。「症例数」や「出身大学」「肩書」なども判断基準になりません。経験が少ない先生より経験豊富な先生にお願いした方がいいように思いますが、数だけでは判断できないのです。

 少し怖い話ですが、2007年5月、インプラント治療中の死亡事故が発生しました。その医院は症例数が多く、有名でした。死因は窒息死で、舌動脈を傷つけて出血し、口腔内以外への出血も起こり、気管切開を行わなかったためだと考えられます。インプラントの手術を行うときは必ずCTを撮影し、そのデータをもとに埋入シミュレーションを行ってドリルの切削手順や方向、深度の確認をしますから、このような事故はあり得ません。シミュレーションが適切に行われなかった可能性もあると思います。

 来院された患者さんのお話ですが、インプラントを検討中に専門性が高そうに見える「○○インプラント研究所」の所長に説明を受けたそうです。あまりいい印象を受けなかったので帰宅後にホームページを見たところ、会員はその先生ただひとり……。最近では、1日講演を聞くだけで専門医の資格が得られる、うさんくさい学会も存在しますのでご注意ください。

「公益社団法人日本口腔インプラント学会」と「公益社団法人日本顎顔面インプラント学会」の専門医や指導医は信用して大丈夫です。私の所属している「公益社団法人日本口腔インプラント学会」の場合、5年以上の正会員で学会誌に一定以上の論文発表をし、さまざまな治療実績を積み上げた者に対して初めて受験資格が与えられます。試験では3年以上の経過症例を20例提出し、その症例に対する口頭試問と筆記試験に合格して、初めて専門医の資格を得ることができるのです(公益社団法人日本顎顔面インプラント学会もほぼ同等の段階を経て資格を取得します)。 (構成=小澤美佳)

北沢伊

北沢伊

1977年7月8日、長野県生まれ。斉藤歯科医院院長。2003年に日本大学松戸歯学部を卒業。同年から同院に勤務し、13年から院長に就任した。若手歯科医師に向けたセミナーの講師を務め後進の育成にも取り組んでいる。日本口腔インプラント学会専門医。千葉県歯科医師会所属。

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