ポップコーンの意外な健康効果 注目は豊富な食物繊維量

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「ポップコーンと言えば若い方のスナックというイメージがあったんですが、機能を調べるうちに面白いことが分かったんです」

 こう話すのは、千葉大学大学院教授で日本食物繊維学会理事の江頭祐嘉合(えがしら・ゆかり)氏。トウモロコシを皮ごとすべて使って作るポップコーンは、食物繊維が非常に豊富なのだという。

「ポップコーンの食物繊維の含有量は、100グラム中9.3グラム。ゆでたサツマイモは約3.5グラム、レタスは1.1グラムなので、ポップコーンがいかに多くの食物繊維を含んでいるかが分かります」

 食物繊維はよく知られる通り、便秘対策に役立つ。食物繊維は体内でのブドウ糖の吸収を遅らせて血糖値の急激な上昇を抑制するのに加え、朝食で食物繊維豊富な食事を取ると、次の食事(昼食)後の血糖値上昇を抑制するセカンドミール効果もある。高脂血症などほかの生活習慣病対策にも食物繊維が威力を発揮する。

 食物繊維の摂取は心筋梗塞死亡率とも関係していて、積極的に摂取することで死亡率が下がる。別の信頼できるコホート研究では、食物繊維の摂取で冠状動脈性心疾患発症リスクが26%低下したという結果が出た。

「食物繊維の摂取で腸内環境が整います。腸内が酸性に傾き、アルカリ性でしか生きられない腐敗物質を出す悪玉菌が生きづらくなるので、生体にとって有利な菌が増える。また、腸内が酸性になるとカルシウムやミネラルの吸収率が高まるという論文もあります」(江頭氏)

 現代人は食物繊維の摂取量が不足気味だとよく指摘されるが、ポップコーンを日常的に食べれば、それも改善できるかも。

■抗酸化物質フェルラ酸が100グラム中313ミリグラムも

 さらに注目すべきは、ポップコーンの抗酸化作用だ。体内で活性酸素が過剰に発生すると、DNAが障害され、老化、がん、動脈硬化のリスクが高まる。それを抑えるのが抗酸化物質だが、ポップコーンには抗酸化物質であるフェルラ酸が100グラム中313ミリグラム含まれている。玄米で42ミリグラムだから、かなり多い。加えてビタミンAの仲間のゼアキサンチンも含まれていて、これも抗酸化作用がある。

「ポップコーンはヘルシーな食べ物。ただし、塩分が多かったりチョコレートが付いているものはちょっと違う。純粋なポップコーンを」(江頭氏)

 年間販売重量4500トン、マーケットシェア85%を誇る菓子メーカー「ジャパンフリトレー株式会社」の社長、岩崎直哉氏は、ポップコーンとバナナジュースを朝食に取ることがあるという。また、管理栄養士の豊田愛魅氏は、ミキサーにかけたポップコーンをご飯に混ぜた“食物繊維量アップかさましポップコーンおにぎり”を提案。

 ポップコーンを「映画館で食べるもの」にとどめておくのはもったいない。

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