女性であれば、ほとんどの人が体験している初体験の時の痛み。私はその初体験の時の痛みが48歳まで続いた人でした。パートナーが変わっても、相手の性器のサイズが変わっても、痛みの度合いはさほど変わりません。プライベートな悩みであったため、他人に相談できない。勇気を出しいろんな婦人科に行っても気の持ちよう、そのうち慣れると言われ、帰されることの繰り返し。
そんな実体験から性交痛に関して興味を持ち始め、性の健康に関連する学会、セミナー、勉強会などで学び始め、かれこれ10年以上になりました。実は私は、12年前から潤滑ゼリーの輸入販売会社を経営しています。しかし、自分が性交痛を持っていることを公表できたのは、ここ数年です。ゼリーの販売は偶然、友人が持ち込んだ企画がきっかけで、私の性交痛とは全く関係なく始めましたが、この仕事を長年していても口に出しづらい悩み。一般女性だったらなおさらでしょう。
性交痛という痛みは特別です。まず、痛いところは急所。男性もペニスを何かにぶつけた時の痛さは筆舌に尽くしがたいものがあるかと思いますが、女性器の性交痛も同様です。
次に、セックスの時だけ痛い。年齢問わず、好きな人ができれば鼓動が感じられるほど近くにいたいし、重なりたい。それは自然なことです。好きな相手に痛みを与えられるほど悲しく苦痛なことはありません。
さらに、妊娠を望んでいる場合には、痛くてできず、深刻な問題に。
性交痛がつらくて仕方がない人は、男性が思っている以上にいます。そして、なんとか治したいと願っている。しかし、病院に行くハードルは高く、やっと行けてもセックスの時だけの痛みなので、病院ではあまり重要視されず、原因を積極的に探してもらえないケースも少なくない。
身体的な問題や、病気以外の心理的な問題で性交痛が起こることもあります。私の性交痛の原因は、なんと初体験から30年も経過した後、簡単な日帰り手術で治ることがわかりました。それほど複雑な「病気」なのです。この連載で少しずつひもとき、お伝えしたいと思います。
セックスが痛い