病の克服は患者に聞け

脊柱管狭窄症<4>退院2カ月で杖とはオサラバできた

曽我陽三さん
曽我陽三さん(C)日刊ゲンダイ

 昨年9月、「脊柱管狭窄症」手術のため、都内の総合病院に入院した曽我陽三さん(一般社団法人・日本ビジュアル著作権協会理事長=70)。

「緊急入院だったものですから、手術室が空かず、手術まで約1週間強、病室で待機することになりました」

 ベッドに腹臥位(うつぶせの状態)で寝て、1日3度の食事は、皿からスプーンで口に運んだ。激痛で寝返りどころか、体を自由に動かすこともできなかったからだ。

 1年半前、同病院(脊椎脊髄外科)から「脊柱管狭窄症」と診断され、「根治療法は手術しかありませんよ」と言われ、手術の概要について説明された。

 手術には、大きく「除圧術」と「固定術」がある。除圧術は、脊柱管を圧迫して、痛みの原因をつくっている骨や靱帯、椎間板(背骨と背骨の間にあるクッションの役目)を削り、脊柱管の圧迫を解除させる。

 固定術は、背骨が「すべり症」(滑り台のように変形)などによって、ずれが大きくなり、脊柱管を圧迫する。このような場合は、ボルトを挿入して、背骨を固定させてしまう手術だ。曽我さんの場合は、「脊柱管狭窄症」の原因に、「すべり症」も加わっていた。

 全身麻酔をかけられた曽我さんは、家族や社員に見送られ手術室に入り、手術台では腹臥位に寝かされた……。

 背骨を固定させるために、6本のボルトが挿入されるという10時間に及ぶ高難度な手術が施行された。 

 術後3日ほど経て、歩行器を用いた歩行訓練が開始され、やがて歩行器が杖に代わって病院内の廊下を歩き続けた。

 入院2カ月ほどして退院。支払った入院費用は3割負担で約100万円である。高額療養費の返還と民間医療保険で、個人負担はゼロになった。

 担当医から「半年間は安静にしてください」と、言われた。

 自宅にあるベッドを1メートルほど高いベッドに取り換え、ダイニングの椅子も座高を高くして座る椅子に変更した。腰を落とすソファにはまだ座れない。

 現在、1日の目標の歩数を決めて散歩を継続しているが、退院2カ月が過ぎて、杖の使用も必要がなくなった。

「手術痕は、まだ少し痛いですが、10年間苦しんできた痛みからは解放されました。この手術は痛いという恐怖感を抱いておりましたがね。これなら1年半前、医者から手術を勧められたとき、さっさとやっておいたほうがよかったと反省しています」

 (おわり)

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